地獄すぎる訓練?レンジャー隊員の強さや伝説について

走る自衛官たち 陸上自衛隊
出典:陸自・第7師団
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幹部、空挺、冬季戦向けも

ここまでは一般的なレンジャー訓練の話でしたが、前述のように他の課程もあります。そのひとつが「空挺レンジャー課程」というもので、第1空挺団で行う空挺降下に特化したプログラムです。

雪中戦向けの「冬季レンジャー課程」もあって、こちらは主にスキーを用いながら、雪国での遊撃戦を想定しました。

そして、富士学校では「教官」を養成すべく、「幹部レンジャー課程」が実施されてきました。これは幹部自衛官のみが対象になり、卒業後は各地でレンジャー訓練を指導するため、他の課程より教育指導法を重視しています。

気になる手当、待遇

ところで、陸上自衛隊の全隊員14万人のうち、レンジャー資格の保有者は約8%にのぼり、実際の人数では約1万人近くになります。

しかし、意外にも見かける機会は少なく、部隊によってバラツキがある状態です。求められる任務の性質上、精鋭部隊や普通科連隊(歩兵)に集中せざるをえず、結果的に特科(砲兵)や後方支援部隊には多くいません。

なお、レンジャーだけで作る特別部隊はないものの、第1空挺団は後方要員を除けば、ほとんどレンジャー隊員になるゆえ、事実上のレンジャー部隊といえるかもしれません。

いずれにせよ、どの部隊でも頼りにされており、有事では現場を支える中核として期待されます。たとえば、能登半島地震では道路が寸断を受けて、レンジャー隊員が救援物資を担ぎながら、崩れた道や険しい山岳地帯を進み、多くの孤立集落に物資を届けました。

そんなレンジャーは皆に尊敬されるも、あくまで個人資格になることから、特別手当は支給されません。ちまたでよく聞かれる「レンジャー手当」などはなく、第1空挺団や水陸機動団の空挺降下、特殊作戦隊員手当から生まれた誤解でしょう。

それでも、究極の自己鍛錬に挑み、勝ち獲った誇りは一生消えず、金銭的な価値には換算できないものです。

変わるかもしれない訓練

さて、毎年行ってきたにもかかわらず、陸上自衛隊は2025年度は一部を除き、レンジャー訓練を中止しました。史上初の異例措置ですが、ここ数年は死亡事故が多発したり、戦場を巡る環境が激変したのが理由です。

同じレンジャー課程といえども、訓練内容の細部は各部隊で違い、担当教官や地域で差が生まれていました。そこで、教育体制の統一を図り、訓練時の安全管理を徹底するとともに、均一性のあるプログラムを目指します。

また、ロシア=ウクライナ戦争で分かるとおり、ドローンの大量使用によって戦術が変わり、従来の訓練では対応しきれません。特に自爆ドローンの影響は大きく、いくら体力・メンタルお化けでも、新たな対処能力が求められます。

戦う前提条件が変わった以上、訓練内容を見直さねばならず、最新の教訓をふまえながら、新しい脅威向けにアップデートするわけです。山岳訓練は維持しつつも、都市戦闘訓練や自爆ドローン対策、ドローンの操縦訓練を追加するのでしょう。

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