高機動・柔軟な防空兵器
自爆ドローンなどの新兵器が戦場で活躍するなか、これら空の脅威から地上部隊を守るための新しい防空システムがアメリカ陸軍に配備されました。
それが「M-SHORAD」と呼ばれるもので、モバイル短距離防空(Mobile-Short Range Air Defense)の略称になります。
ちなみに、アメリカ陸軍の防空フェーズは、それぞれ(1)高高度、(2)高・中高度、(3)短距離(低空)の3つに分かれており、M-SHORADは3番目の防空範囲を担う形です。
M-SHORADはストライカー装輪装甲車を改良した防空車両であり、優れた機動力・空輸性を活かして自由自在に展開できるのが特徴です。
30mm機関砲と7.62mm期間中に加えて、車体上部にはスティンガー対空ミサイル(4発)、ヘルファイア・ミサイル(2発)、全周360度をカバーする最新センサーと多目的レーダーを搭載しました。
また、防空レーダーや陸軍の戦闘ネットワークにつなげてのリアルタイム対処が可能となり、乗員たちはディスプレイ操作をするだけでドローンや航空機などの低空目標を迎撃できます。
ドローンにせよ、航空機にせよ、低空飛行する目標は探知しづらく、気づいたときには迎撃時間がほとんどないケースも多いです。そのため、M-SHORADのように機動展開しやすく、確実に捉えながら対処できる柔軟性が欠かせません。
改良型のDE M-SHORAD
既存兵器を使ったおかげもあって、M-SHORADの開発そのものは短期間で済み、すでに最初のユニットが在独米軍に配備されました。今後は計144基の配備を目指しているものの、現在は「DE M-SHORAD」という新しいタイプも開発中です。
頭文字のDE(Directed Energy:指向性エネルギー)が示すように、こちらは改良型のミサイルを搭載するとともに、高出力のレーザー兵器を用いた新型兵器になります。
レーザー兵器も載せたDE M-SHORAD(出典:アメリカ陸軍)
レーザー兵器の迎撃コストはミサイルよりも格段に安く、ドローンやロケット、砲弾を撃墜するのに最適です。安価なロケット弾にわざわざ高い防空ミサイルをさし向ける理由はなく、レーザー兵器を使えば費用対効果は大幅に改善されます。
このDE M-SHORADは実弾射撃などの各テストを済ませており、最初の4両が米陸軍に納入されました。現場での評価を確認したのち、将来的にはこちらも量産体制に移行すると思われます。
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