11式短距離地対空誘導弾の役割と後継、配備数は?

陸上自衛隊
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81式の後継として

陸上自衛隊には中〜短距離の防空兵器がそろい、特に短・近距離の種類は充実しています。

なかでも、81式短距離地対空誘導弾は配備数の多さからか、「陸自の短SAM代表」とも言われており、その後継にあたるのが「11式短距離地対空誘導弾」です。

  • 基本性能:11式短距離地対空誘導弾
重 量 103kg
全 長 2.93m
直 径 0.16m
射 程 約10km
価 格 1セットあたり約30億円

11式短SAMは東芝が開発を担い、2011年に調達が始まった対空ミサイルですが、従来型が苦手としていた巡航ミサイル、高速の小型目標への対処能力を高めました。

これはミサイルの性能向上だけではなく、新型の防空ネットワーク、指揮統制システムとの連接にともなう改善です。

4連装の発射装置を73式大型トラックに積み、操作・整備しやすいキャニスター式になったとはいえ、81式にあった自動装填装置はなくなりました。

11式短SAMの発射(出典:陸上自衛隊)

一方、運用方法はさほど変わらず、ミサイルは自分で目標を捕捉・追尾する仕組みです。ただし、81式では赤外線画像・光学画像でも追うなど、パッシブ誘導を選べたものの、11式短SAMではアクティブ方式(自分で捕捉)に限定されました。

システム構成も81式短SAMと同じく、「発射装置×2、射撃統制装置×1」の計3両でつくり、中型輸送機やCH-47Jヘリでの機動展開も想定しました。

したがって、離島防衛でも最前線の防空を担い、重要な空港と港湾施設を守り、巡航ミサイルや自爆ドローンを迎撃します。

空自での採用と後継開発

全体的に性能を引き上げた形ですが、11式短SAMは陸自のみならず、航空自衛隊も基地防空用に導入しました。

こちらは「基地防空用地対空誘導弾」の名称で使い、その搭載車両はトラックではなく、小回りの効く高機動車に変更されました。

両者の違いをいえば、陸自は自動展開式なのに対して、空自版はハンドルを回しながら、手動で展開作業を行います(射撃時の旋回動作は自動)。

陸自、空自ともに使うとはいえ、その値段は30億円と安くはなく、調達スピードは遅いままです。配備数は陸自で20セットほど、空自は約10セットとされており、前者では81式短SAMと併用しています。

防衛省では調達が進まないうちに、「新近距離地対空誘導弾」という後継に取り組み、多目標への同時対処能力を高めながら、小型・低空目標の迎撃能力をさらに強化しました。

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