自衛隊も導入!米軍のT-6練習機「テキサンII」とは?

T-6練習機 アメリカ
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プロペラ式の初等練習機

パイロット育成には練習機が必須ですが、航空自衛隊ではプロペラ式の「T-7練習機」を入門用に使ってきました。これは初等練習機としては扱いやすく、優れた飛行安定性を誇るものの、現在はさすがに老朽化が進んでいます。

そこで、新しい後継として選ばれたのが、米軍も使う「T-6テキサンII」です。

  • 基本性能:T-6 テキサンII
全 長 10.16m
全 幅 10.19m
全 高 3.25m
乗 員 2名
速 度 時速510km
航続距離 約1,700km
高 度 9,400m
価 格 1機あたり約12億円

T-6はアメリカのプロペラ式の初等練習機であり、米海軍・空軍のパイロット育成で使われています。

「テキサン(Texan)」とはテキサス州の人という意味ですが、これは1930〜60年代に運用された初代・T-6にちなんだ名前です。初代・T-6も同じプロペラ式の練習機でしたが、その生産工場がテキサス州にあったことから、テキサンの愛称が定着しました。

テキサス州は独立独歩の気風が強く、荒馬を乗りこなすカウボーイの聖地でもあります。そのため、飛行機を乗りこなすべく、一人前のパイロットを目指す練習機にふさわしい名前でした。

現在のT-6は2代目・テキサンにあたり、スイス製のPC-9練習機をベースにしながら、1990年代に開発されました。見た目が似ているとはいえ、米軍仕様に合わせるべく、設計の9割以上が変更されており、その中身はPC-9と全く違います。

たとえば、エンジンを換装したり、コックピット周りを強化・近代化しましたが、こうした性能強化は初心者のハードルを高める逆効果を生み、米軍は適性検査やさらなる初等段階で別の機体を使う羽目になりました。

よって、初等練習機でありながら、実際には入門編の「次」に乗る機体です。

T-6練習機米軍のT-6練習機(出典:アメリカ空軍)

そんな2代目・T-6には大きく2つのタイプがあって、これまで説明してきたのが基本型の「T-6A」にあたります。

一方、海軍向けには改良型の「T-6B」が作られており、こちらはコックピットの計器類をデジタル化しました。しかも、爆弾などの兵装も外付けできるため、このT-6Bをベースに軽攻撃タイプの「AT-6ウルヴァリン」というのも開発されています。

このAT-6はエンジン出力が高く、JDAM誘導爆弾や空対空ミサイルも搭載できるなど、いわゆるCOIN機(低脅威に対する戦闘機)として期待されました。ただ、競争では同じ役割の「A-29スーパーツカノ」に敗れることが多く、その販売実績はあまりよくありません。

T-7の後継として

さて、T-6練習機はアメリカでは2001年以降、じつに700機以上が配備されてきました。カナダやイギリス、イスラエルなども導入したほか、コロンビア、イラク、チュニジアのような経済的余裕のない国でも、貴重な航空戦力として使われています。

累計生産数が1,000機を超えるなか、日本も新たに導入するわけですが、スイス製の「PC-7MKX」との競争に勝ち、2030年代から配備されることになりました。具体的な機数や導入方法(輸入なのか、ライセンス生産なのか)は分かっておらず、続報待ちですが。

同盟国・アメリカで運用実績を持ち、その安定性に定評があるとはいえ、前述のとり初心者に対するハードルが否めず、教育効果におけるT-7とのギャップが心配です。

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