特殊部隊も!アメリカ沿岸警備隊の艦艇、装備について

アメリカ沿岸警備隊 アメリカ
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国土安全保障省に所属

アメリカは大陸国家のイメージが強いものの、太平洋と大西洋に挟まれており、ハワイやグアム、プエルトリコなど、多数の島嶼を領有しています。それゆえ、島国・日本と同じく、沿岸警備には力を入れねばならず、麻薬と不法移民の流入をふまえると、その必要性は日本以上かもしれません。

この地理的特性と犯罪傾向からか、アメリカ沿岸警備隊は世界有数の規模を誇り、もはや中小国の海軍さえを上回ります。その仕事は海上警備から法執行、捜索救助と多く、日本の海上保安庁のモデルにもなりました。

世界最強の米海軍と比べて、あまり知られていませんが、アメリカ沿岸警備隊とはどのような組織なのか?

  • 基本情報:アメリカ沿岸警備隊
創 設 1915年1月28日
(前身組織は1790年)
本 部 ワシントンD.C.
任 務 海上警備、法執行、捜索救助
管 轄 9つの管区(実際は世界中に展開)
人 員 約7.8万人
・現 役:4.05万人
・予備役:7,700人
・補助員:2.1万人
・文 官:8,600人
予 算 約1.9兆円
船 舶 巡視船:約250隻
小型艇:約1,650隻
航空機 固定翼機:約100機
ヘリコプター:約100機

まず、沿岸警備隊は陸海空・海兵隊・宇宙とともに、6つの常設軍事組織の一員にあたり、アメリカ全体の国防体制に組み込まれています。しかし、他の5つとは違って、国防総省には属しておらず、国土安全保障省の傘下になります。

国土安全保障省は9.11同時多発テロを受けて、2002年にできた比較的新しい省庁ですが、その任務は本土をテロや犯罪、自然災害から守ること。ちなみに、2002年以前は運輸省の管轄下だったため、国土交通省に属する海上保安庁と似ています。

ややこしいのが、国防総省所属ではないにもかかわらず、アメリカ合衆国軍の一翼を担う限り、いわゆる「米軍」に該当する点です。

つまり、他の米軍と異なる省庁にいながら、全体では同じ米軍の仲間になります。その証拠に階級は軍隊式になり、水兵や兵曹という呼称はもちろん、幹部以上は少尉〜大将までそろい、海軍とほぼ同じ階級システムを採用しました。

そもそも、海上警備隊である以上、世界的には軍隊の一部とみなされやすく、海保も自衛隊に次ぐ準軍事組織という扱いです。

世界12位の海軍?

さて、アメリカ沿岸警備隊は40,500人の隊員に加えて、7,700人の予備役、21,000人以上の補助隊員、8,600人の文官(事務員、技術者など)で構成されています。

すなわち、人員だけで1.47万人の海保どころか、海上自衛隊(4.5万人)を超えました。年間予算でいえば、沿岸警備隊は約1.9兆円の規模を誇り、海保の2,700億円は桁違いの金額です。

一国の海軍に近い予算を使い、沿岸警備隊は7.8万人近い人員とともに、艦艇250隻と200機以上の航空機を持ち、世界12位の「海軍」にランクインしてしまいます。近年は中国海警局が猛追しているとはいえ、現状では規模・能力ともにアメリカが上回り、いまだ海上警備部隊としては世界1位です。

そんなアメリカ沿岸警備隊は巡視船を「カッター」と呼び、全長20m以上で専属のクルーがいる船を指します。青色・白色を基調とする海保に対して、シンボルカラーの赤・青・白の三色を使い、白色の船体に赤い帯と青色のラインが入るデザインです。

現在は「バーソルフ級(レジェンド級)」が主力を担い、アメリカ本土の沿岸部のみならず、海外派遣や遠洋パトロールにも使われています。57mm速射砲、20mm CIWSを搭載したほか、デコイ発射機と電子戦能力、無人機運用能力も備えており、ちょっとしたフリゲート並みの兵装です。

アメリカ海軍と沿岸警備隊の共同作戦海軍との合同訓練(出典:アメリカ沿岸警備隊)

海保の巡視船とは異なり、アメリカのカッターは軍艦に近く、米海軍と合同作戦を行うなど、運用面でもかなり軍事色が強いといえます。実際にベトナム戦争では現地まで赴き、イラク戦争でも警備に駆り出されました。

また、「ハミルトン級(退役済み)」は沿岸隊所属でありながら、哨戒艦として多くの軍事作戦に加わり、対潜兵器や対艦ミサイルも備えていました。装備面の充実は船舶に限らず、航空機もC-130輸送機やSH-60シリーズなど、軍隊レベルの機体を多く運用しています。

冷戦後は海軍との一体化が薄まり、本来の海上警備と犯罪対策に戻りつつあるも、いまだ兵装システムでは海軍と共通点が多いです。したがって、海保・海自と比べた場合、アメリカ沿岸警備隊は米海軍との運用互換性が高く、共同作戦で連携しやすくなっています。

複数の特殊部隊を運用

さらなる特徴として、沿岸警備隊は複数の特殊部隊を持ち、任務に合わせて使い分けています。これらは「Deployable Specialized Forces(展開特殊部隊)」と呼び、それぞれが対テロと犯罪取締り、港湾警備、海難救助のエリート部隊です。

たとえば、TACLET(戦術法執行チーム)は麻薬密輸船への臨検を、MSST(海洋保安部隊)は対テロから海賊対処、MSRT(海洋保安即応部隊)はあらゆる強襲作戦を行います。

ただし、各部隊の任務は重複部分も多く、明確に線引きされていないことから、実際は可用性と状況をふまえて、臨機応変に投入されてきました。部隊レベルはどこも高く、海保のSST(特殊警備隊)がたくさんいる感じですが、軍事作戦にも参加する関係から、ほとんど軍隊の特殊部隊に近いでしょう。

こうした部隊は日本とも無縁ではなく、バーソルフ級が北朝鮮の密輸を取り締まるべく、日本近海まで派遣されたとき、強襲臨検用の隊員が同乗していました。

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