国産の無人車両!自衛隊が研究中の将来水陸両用車とは

自衛隊の無人水陸両用車 陸上自衛隊
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サンゴ礁の突破を目指して

離島防衛の必要性を受けて、陸上自衛隊は「水陸機動団」を編成したほか、アメリカから「AAV-7」水陸両用戦闘車を買いました。

しかし、AAV-7の設計は1960年代と古く、現代戦に耐えられるか怪しい性能です。それゆえ、新型車両までの「つなぎ感」が強く、その後継選びが急務となっています。

このような状況のなか、防衛装備庁では独自の研究・開発が進み、「将来水陸両用技術の研究」の名の下、国産の水陸両用車両を試作しました。研究自体は2017年に始まり、すでに実証実験の段階に入りました。

  • 基本性能:将来水陸両用車
重 量 約40t
全 長 約8m
全 幅 3.3m
全 高 2.3m
乗 員 最大10名
速 力 陸上:時速70km
水上:時速37km
価 格 1両あたり約9億円

水陸機動団の役目は離島防衛ですが、サンゴ礁の多い南西諸島で活動する以上、それを乗り越えられる車両が必要です。ところが、AAV-7はサンゴ礁の突破能力がなく、南西諸島に投入するうえでの弱点でした。

そこで、将来水陸両用車は強力なエンジンを積み、約3,000馬力でサンゴ礁を一気に突破します。この馬力はAAV7の約6倍、90式戦車の約2倍にあたり、一般乗用車の約10倍のパワーです。

キャタピラはサンゴ礁に乗り上げるとき、噛み合いやすい設計になっており、戦車超えのエンジンと合わせながら、確実に乗り越える力を確保しました。模擬のサンゴ礁とはいえ、試験では問題なく突破するなど、良好な成績を収めています。

なお、戦車超えの馬力でキャタピラの踏破力はもちろん、ウォータージェットの推進力も高まり、時速37kmという水上速度を実現しました。

先陣を切る役割

サンゴ礁を乗り越える踏破力を持ち、水上航行力も高い将来水陸両用車ですが、隊員が乗り込む車両だけではなく、遠隔操作する無人タイプも開発中です。

水陸両用車は正面から殴り込み、敵に対して強襲上陸を行うことから、損害は避けられません。そのため、最初に送り込む車両群を無人化すれば、人的リスクを大きく減らせます。

水陸両用戦のイメージ運用のイメージ(出典:防衛省)

防衛省の運用構想によると、まずは有人・無人型に分けたあと、有人車両から数両の無人車両を操り、先陣として突っ込ませる形です。無人車両群で突破口を開き、後続の橋頭堡を確保しながら、主力の到着後も引き続き前衛を務めます。

上陸後は隊員を守る盾になったり、遠隔操作式の機銃で火力支援を行い、状況次第では輸送任務にも投入予定です。輸送車両として用いる場合、戦闘下で補給物資などを運び、ここでも有人車両が複数両を遠隔操作します。

将来的な採用の見込み

正式な採用は決まっておらず、いまだ試作段階とはいえ、試験では良好な性能を示しており、2028年に実用化する話が出ています。

AAV-7の後継選定は急がねばならず、他国の水陸両用車をふまえても、現状では国産化が無難な選択でしょう。少なくとも、日本の運用環境に合致するほか、性能は確認できているわけですから。

奇しくも、水陸機動団はその創設にあたって、アメリカ海兵隊を参考したものの、その海兵隊では「EFV(遠征戦闘車)」の開発が失敗に終わり、結局は装輪式の「ACV」で妥協しました。

アメリカの失敗と対比すれば、日本はあまり大風呂敷を広げず、実用性のある技術で堅実に取り組み、結果的に開発に成功したといえます。

ただ、いまだキャタピラ式の水陸両用車を望み、EFVが2,700馬力だった点を考えると、米海兵隊も将来水陸両用車に注目しています。実際にアメリカは研究には加わり、技術面では日米共同開発になりました。

対中国で日米の一体化が進むなか、特に水陸両用戦は共同で行う可能性が高く、海兵隊も日本産を選ぶかもしれません。

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