掃海も輸送も!海上自衛隊に配備されたMCH-101ヘリ

自衛隊
この記事は約3分で読めます。

少数ながら掃海・輸送をこなす働き者

海上自衛隊のヘリコプターといえば、対潜哨戒でおなじみのSH-60シリーズが思い浮かびますが、実は少数ながら「MCH-101」と呼ばれる掃海(機雷の除去)と人員輸送用のヘリも導入しています。

イギリスとイタリアが共同開発した汎用ヘリをベースにしたこの機体は、その優れた拡張性から他国では対潜哨戒機や早期警戒機、捜索救難機として使われており、自衛隊が初めて採用したヨーロッパ製の航空機として有名です。

⚪︎基本性能:MCH-101掃海・輸送ヘリコプター

全 長 22.8m
全 幅 18.6m
全 高 6.6m
乗 員 4名+人員20名以上
速 度 最高時速:約300km
航続距離 約1,300km
価 格 1機あたり約73億円

海自は1990年代を通じてMH-53Eを掃海ヘリとして用いましたが、これは大型で当時の艦艇では運用できなかったことから2000年代からMCH-101への更新を進めてきました。

本機はMH-53よりもひと回り小さいうえ、メインおよびテールローターを自動で折り畳めることから艦艇運用に適した設計となっており、「ひゅうが型」のようなヘリ空母はもちろんのこと「うらが型」掃海母艦でも難なく運用可能です。

装備面については、レーザーを使って機雷を探知するシステムを導入したことでより効率的かつ安全な機雷探知を実現するとともに、振動を抑える制御装置によって飛行性能と安全性も向上させました。

また、UH-60Jで見られる吊り上げ用のホイストも付いているので、いざという時は海上救難機としても活躍します。

艦艇での運用が容易となったMCH-101(出典:海上自衛隊)

一方、人員輸送の点では広い機内スペースを確保することで20名以上を運べる能力を持ち、海自の一大イベントである観艦式では総理大臣を送迎する大役を務めました。

このようにヘリとしては十分すぎる人員輸送力を誇るMCH-101ですが、その主な目的は迅速な展開が求められる海自の特殊部隊「特別警備隊」を強襲作戦時などに空輸することです。

そのため、計10機が調達されたMCH-101は海自唯一の航空掃海部隊でありながら、特別警備隊を支援する役割も帯びる山口県・岩国基地の第111航空隊に配備されています。

わずか10機ほどでは心許ない印象を受けますが、もともと掃海ヘリ部隊は10機ほどでやり繰りしてきた歴史があり、少数なのはMCH-101に限ったことではありません(実際、MH-53Eの調達数も11機)。

平時から広大なエリアを捜索せねばならない対潜哨戒とは異なり、掃海や特殊部隊の空輸を担うヘリの出番はそこまで多くはなく、対機雷戦も行える「もがみ型」フリゲートの登場で海自の掃海部隊そのものが縮小傾向にあります。

したがって、海自としてはMCH-101は4〜6機前後の稼働機があれば十分なのでしょう。

南極観測隊向けの別バージョンも

さて、このように機雷除去から特殊部隊の輸送まで担うMCH-101以外にも、海自は派生型の「CH-101」というヘリを別で3機導入しました。

このヘリは南極観測船「しらせ」に搭載して、陸地との間で物資や人員を運ぶのが任務となりますが、南極の気象条件を想定した寒冷地対策を施しているのが特徴です。

南極仕様とはいえ、機体構造などは通常版と変わらず、「しらせ」が南極観測に出かけるとき以外は、MCH-101と同じ岩国基地で訓練・整備が行われています。

⚪︎関連記事:潜水艦の天敵?海上自衛隊のSH-60哨戒ヘリが持つ重要性

コメント

タイトルとURLをコピーしました