日々の航空安全を守る
航空機は広い大空を飛ぶとはいえ、好き勝手に飛んではおらず、海に航路があるのと同じく、空にも「航空路」という道が存在します。
この航空路の交通安全といえば、管制塔が担う印象が強いとはいえ、実際は各地の空港施設に加えて、航空保安施設も空の安全に欠かせません。
ときどき山の上に謎の施設があったりしますが、国土交通省の航空保安施設であることが多く、無線や電波、灯火装置を使いながら、上空の飛行機を誘導しています。
たとえば、視界不良で滑走路を目視できないと、飛行機は電波誘導などに頼るしかなく、その際は空港の管制塔とともに、航空保安施設が着陸まで導く仕組みです。
超重要な役目を担う以上、航空保安施設の定期点検は欠かせず、そこで登場するのが「飛行点検機」です。「航空界のドクターイエロー」とも呼び、あまり知られていないものの、どのような機体なのでしょうか?
U-125とU-680A
飛行点検の大部分は国土交通省が担うなか、航空自衛隊も自分たちの基地施設を点検するべく、独自の飛行点検機「U-125」「U-680A」を運用しています。
- 基本性能:U-125/U-680A
| U-125 | U-680A | |
| 全 長 | 15.6m | 19m |
| 全 幅 | 15.7m | 22.2m |
| 全 高 | 5.36m | 6.4m |
| 乗 員 | 7名 | 8名 |
| 速 度 | 時速990km | 時速990km |
| 航続距離 | 約3,900km | 約5,000km |
| 価 格 | 30億円 | 47.5億円 |
前者は「救難機(U-125A)」の派生型にあたり、1993年から計3機が導入されるも、2016年の事故で1機を失いました。
その後、航続距離で勝る「U-680A」を配備したため、入間基地の飛行点検隊は「U-125×2、U-680A×2」の体制になりました。
最新型のU-680A(出典:航空自衛隊)
点検機は飛行中に自動点検装置を使い、各施設の異常の有無を確認するほか、新しい空路や航空保安施設ができると、最初の点検を実施しながら、その安全性を確かめます。
その対象は北海道から沖縄、南鳥島にまでいたり、計43ヶ所の自衛隊基地と165個以上の関連施設です。その多くは民間の共用空港であって、我々の日常生活に直結しています。
わずか4機の小所帯なれども、その活動には事故などの危険がともない、こうした命がけの整備・点検がなければ、日々の空の安全は成り立ちません。


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