期待されるB-2の後継
アメリカは圧倒的な戦力で空を支配しながら、敵に痛烈な打撃を与えられますが、「戦略爆撃機」はその一翼を担い、大国間の核抑止にも貢献してきました。
いまある3つの戦略爆撃機のうち、B-2爆撃機は世界で最も高価な飛行機であって、ズバ抜けたステルス性を誇るものの、その後継として開発されたのが「B-21」です。
- 基本性能:B-21レイダー
全 長 | 20m |
全 幅 | 50m |
全 高 | 5m |
乗 員 | 2名 |
速 度 | 時速1,000km |
航続距離 | 約11,000km |
高 度 | 約15,000m |
兵 装 | 各種爆弾、長距離ミサイル 核爆弾・核ミサイル |
価 格 | 1機あたり約950億円 |
B-21爆撃機は「レイダー(Raider)」の愛称が持ち、太平洋戦争で初の対日空襲を実施した「ドーリットル隊」の通称でもあります。日本語では「侵入者」という意味になり、そのステルス性を活かしながら、敵地に進入・爆撃する意味が込められました。
B-2に見た目が似ているとはいえ、技術進歩でステルス性は進化を遂げており、現存のレーダーでは探知できません。2025年の対イラン空爆において、アメリカはB-2を侵入させたところ、イラン側は全く探知・迎撃できず、悠々と爆撃して去りました。
B-2でさえ探知できないことを考えると、その後継であるB-21をとらえるなど、まず不可能でしょう。中国の対ステルス・レーダーにも映らないそうですが、たとえ運よく見つけたとしても、レーダーに映りづらい点は変わらず、ミサイルを撃っても誘導ができません。
コストを抑えられるか
これだけの高性能機になると、その分のコストもハネ上がりますが、B-21は100機以上の量産効果を通して、B-2よりは安くなる見込みです。
しかしながら、ステルス性を保つコーティング、温度・湿度を管理する専用の格納庫など、多額の維持整備費が欠かせず、最終的には似た金額になるかもしれません。
さて、B-21は爆弾と長距離ミサイル、核兵器まで搭載できるほか、B-2にはなかった無人飛行機能を備えました。この無人機能を使えば、貴重なパイロットの損失はなくなり、危険度の高い任務に投入できます。ただ、約950億円の超高額機を失うリスクは変わらず、心理的にはそう簡単には使えません。
それでも、技術的にも急成長した中国に対抗すべく、古くなった爆撃機群を更新せねばならず、そのためにはB-21のような高性能ステルス機が必要です。冷戦終結時と比べて、アメリカの戦略爆撃機数は1/3まで落ち込み、こうした事情から生じる焦りからか、2027年までには初期配備が始まります。
最終的には100機以上の体制になり、2040年頃にはB-1、B-2爆撃機を更新予定です。一方、B-52爆撃機は初飛行が1950年代にもかかわらず、エンジン換装と追加改修を受けながら、B-21とともに戦略爆撃機体制を支えつづます。
すなわち、最新鋭のB-21と古いB-52を組み合わせて、高額・高性能と低額・低性能の「ハイ・ローミックス体制」をつくり、全体的な戦力向上を図るのが狙いです。

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