まだ戦場で活躍できる?
攻撃ヘリの廃止議論をふり返ると、ロシア=ウクライナ戦争での苦戦、携行式防空兵器の普及があります。
歩兵がスティンガーのような防空兵器を持ち、多数の攻撃ヘリが撃墜された結果、もう通用しないとの声が相次ぎました。たしかに、ロシアのKa-52攻撃ヘリは損害が多く、序盤で次々と携行ミサイルに落とされました。
されど、その後は射程外から火力を撃ち込み、防御戦闘では火消し役を務めるなど、一定の条件下では活躍しています。相手が航空優勢を確立しておらず、前線部隊の防空能力が低ければ、いまだその対地攻撃力は有効です。
ドローンと比較すると、垂直離着陸と滞空能力の必要性、という論点に行き着き、無人機は有人機ほど柔軟性がありません。市街地などの狭い場所に降りたり、空中で待ち伏せ・待機するなら、まだ攻撃ヘリの方が活用しやすく、逆にドローンはこの点では発展途上です。
対ドローン戦においても、空中でホバリングしながら、安い機関砲でドローンを迎え撃ち、ウクライナ側は戦果を重ねてきました。
運用次第でまだ使える(出点:米陸軍)
さらに、戦闘攻撃ヘリが飛んでいれば、それだけで警戒せねばならず、敵に心理的影響を与えられます。ロシア=ウクライナ戦争を見ても、一方的に落とされているわけではなく、歩兵と陣地に対してロケット弾を撃ち込み、小さくない損害を与えてきました。
また、攻撃ヘリは火力支援のみならず、現場で輸送ヘリを護衛しながら、陸軍の空中機動作戦を支えます。ドローン単体での護衛は不安が残り、戦闘攻撃ヘリをなくしてしまえば、輸送ヘリの脆弱性が露呈するだけでしょう。
だからこそ、米陸軍では各師団に大型の輸送ヘリ、それを守る戦闘攻撃ヘリを置き、航空輸送力を維持してきました。集中運用で一気に戦力を運び、機動作戦で敵を翻弄する狙いですが、そこでは攻撃ヘリの直掩が役立ち、不要論ではこの視点が抜けています。
自衛隊が島嶼防衛の準備をするなか、各島を相互支援のネットワークで結び、火力支援と反復攻撃を目指すならば、攻撃ヘリは使えるかもしれません。
地形に制約される陸上に比べて、海上は高速機動力を発揮しやすく、航続距離の課題はあるにせよ、各島と艦艇から攻撃ヘリが飛び立ち、緊急支援と打撃任務に投入すれば、それなりの働きは期待できます。
ヘリ空母での運用(出典:海上自衛隊)
結局のところ、攻撃ヘリの議論は収まっておらず、運用環境と条件さえ整えば、まだ活躍の余地がある状況です。
もちろん、最近のドローンは発展が目覚ましく、このまま日進月歩の進化が続けば、今後はヘリから全ての役を奪い、完全に置き換えるかもしれません。
しかし、現時点で有効性の見極めが難しい以上、「全廃」の結論は早すぎたと思います。
陸自側も似た認識に至ったのか、最新計画では2029年まで部品調達が続き、全廃方針からの転換を匂わせています。少なくとも、エンジン関連を含む部品を調達するなら、2029年以降も運用は続くのでしょう。


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