イランとの戦争で見えたアメリカの強さと限界

アメリカの空母打撃群 外交・安全保障
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貴重な資源の無駄使い

しかし、課題がないわけではなく、いくら米海軍が優勢といえども、地対艦ミサイルと小型高速艇、ドローン群が待ち構える以上、狭いホルムズ海峡には突入できず、逆封鎖にとどめてきました。

前述のとおり、アメリカはリスク回避の傾向が強く、イランの封鎖を突破できても、狭い海峡では機動力を活かせず、損害は避けられません。

これは地対艦ミサイル、ドローンの有効性が働き、改めて非対称戦の効果を証明しました。

自由に空を飛び回り、戦術的には優勢なれど、自国民の損害を恐れるあまり、最終的な「決め手」には欠き、これがアメリカの限界といえます。

さらに、この無用な戦争で6兆円以上の戦費、大量の弾薬・誘導兵器を使い込み、貴重な備蓄が激減しました。本来は対中国用に温存すべきところ、最新のミサイルまで投入したあげく、本国の在庫が尽きかけています。

数年かけての在庫を浪費したため、またしても備蓄せねばならず、この瞬間に台湾有事が起きたら、弾薬不足で中国を阻止できません。もっとも、中国も台湾侵攻の準備が整わず、まだ時間的猶予はありますが。

いずれにせよ、今回の対イラン戦争は国際法違反、不要不急の暴挙でしかなく、アメリカの戦略的立場を低下させました。これまでは曲がりなりにも、国際法と国際秩序を守る側に立ち、その大義名分で正当性を担保していました。

その結果、アメリカは「道義的な権威」を保ち、これが同盟ネットワークとともに、戦略的優位性につながっていたほか、中国・ロシアと対照的に映りました。

それを今回の戦争で失い、対中国戦の弾薬も浪費した以上、政治目的の未達成と合わせると、アメリカは「損」しただけでしょう。

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