自衛隊も使っていた?CH−53輸送ヘリの性能と役割

ヘリコプター
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西側最大級の輸送ヘリ

強襲揚陸艦から海兵隊を送り込み、上陸作戦を実施するにあたって、アメリカは水陸両用車のみならず、ヘリによる空挺降下もします。

そして、このヘリを使った強襲において、主に使われるのが「CH-53」です。

  • 基本性能:CH-53E スーパースタリオン
全 長 30.1m
全 幅 24m(ローター含む)
全 高 8.46m
乗 員 5名
速 度 最高時速310km
航続距離 約1,800km
高 度 約5,600m
輸送能力 兵員:37〜55名
貨物:14.5トン
機外:16.3トン
兵 装 12.7mm機関銃×2〜3
価 格 約50億円(当時)

CH-53の誕生は1960年代にさかのぼり、旧式化したHR2Sに代わって、米海兵隊は大きい輸送ヘリを求めました。その結果、1964年には試作機が飛び、1966年に海兵隊に納入されたあと、1967年にはベトナム戦争で投入されます。

ヘリ大手のシコルスキーが開発を担い、スタリオン(種牡馬)という愛称のとおり、西側最大級のヘリは高い馬力を持ち、まるで空を力強く走る馬です。

初期型は265機が製造されたものの、ベトナム戦争での教訓をふまえて、さらなる出力増強に取り組み、1981年には改良型(E型)が登場しました。

エンジンが2基から3基になり、ローターも1枚増の7枚にした結果、出力と信頼性の向上に加えて、輸送能力は2倍に増えました。夜間飛行能力も伸び、チャフ・フレア発射装置を追加して、自己防御機能を高めます。

他方、全長30メートル超えにもかかわらず、最前線での激しい動きを考えて、ループのような曲芸飛行さえできるなど、驚異的な機動性を与えられました。

この高い運動性能は生死を分けやすく、実際に対空砲火を回避したり、難しい場所にも着陸してきました。

機内の様子(出典:米海兵隊)

また、その大きさを活かしたところ、機内には33人の兵士が乗り込み、貨物は14トン以上を輸送できます。ただし、ギリギリまで詰め込めば、最大55名まで輸送可能です。

24個の担架を設置すれば、空飛ぶ救急車に変わり、負傷兵を緊急搬送してきました。機外に吊り下げて運ぶ場合、16トンまで持ち上げられます。これは装甲車やM777榴弾砲、F-35戦闘機さえ吊り下げて、そのまま運べる能力です。

吊り下げた状態だと、自慢の機動性は発揮できず、燃費も悪くなるとはいえ、空中給油を受けられるため、航続距離の心配はありません。

実際に別の航空機を吊り下げたまま、空中給油を受ける姿が目撃されています。異様な光景といえども、改めてその能力の高さ、使い勝手の良さを示してきました。

装甲車を運ぶCH-53(出典:米海兵隊)

機体の後ろにはランプドアを持ち、すばやく貨物を積み下ろせるほか、状況次第で機関銃を設置できます。

さらに、洋上を飛行することから、胴体は完全水密構造であり、強襲揚陸艦や空母で運用すべく、回転翼は折りたたみ式にしました。その恩恵は艦上にとどまらず、CH-53自体はC-17輸送機に収まり、世界各地にすばやく展開できます。

こうした輸送力の高さ、洋上を想定した設計、使い勝手の良さから、海軍も原子力空母に積み込み、艦艇間の輸送で重宝してきました。とりわけ物資の輸送で役立ち、一度に多くの補給ができると評判です。

掃海から救難型まである

CH-53はベトナム戦争で活躍後、その汎用性の高さに注目が集まり、多くの派生型が生まれています。

たとえば、救難型(HH-53)はベトナム戦争で役立ち、特殊部隊向け(MH-53J/M)は地形把握能力、暗視能力を高めながら、夜間・悪天候でも低空飛行します。

機雷掃海型(MH-53E)は日本も買い、1989年から海上自衛隊に配備されました。計11機を導入したあと、2017年まで使っていましたが、現在は後継の「MCH-101」に座を譲り、自衛隊からは姿を消しました。

このファミリー化を通して、海外販売にも力を注ぎ、日米以外ではドイツ、イタリア、イスラエルなどが導入しました。

最新のCH-53Kに進化

CH-53は米海兵隊に欠かせず、いまなお現役で飛び続けているほか、日本で普天間基地に配備されています。

2004年には沖縄国際大学にCH-53Dが墜ち、大きな政治・社会問題になり、その安全性が疑問視されました。

シリーズ全体でいえば、CH-53は事故で200人以上を失い、10万飛行時間あたりの事故率に見ると、平均の2倍近い数値になります。当然、初期型の方が事故率が高く、信頼性を高めたE型に限ると、この数字は減少しますが。

それでも、代替できるほどの候補、新型開発の理由は見当たらず、海兵隊自身も使用継続を望み、2015年にはCH-53Kが登場しました。これはE型の改良版といえども、全面的に設計を見直しており、もはや事実上の新造機です。

エンジンの刷新、コックピットのデジタル化、機体幅の拡張にともなって、ハンヴィー(軍用車両)が機内に収まり、最大積載量も向上しています。

規模・輸送力ではロシアの「Mi-26」に次ぎ、西側諸国の現役ヘリに限ると、最大の能力を獲得しました。


揚陸作戦に必要(出典:米海軍)

一方、現在はE型の老朽化が著しく、運用・整備コストの増加に反比例して、その稼働率は低下してきました。ある試算によると、1時間の飛行で約250万円もかかり、米軍の予算を圧迫しています。

こうした問題はあるにせよ、MV-22オスプレイだけでは数が足りず、航空輸送力を担保するならば、ひとつの機種への依存は危険です。

リスク分散の観点をふまえても、別の輸送ヘリは必要であって、総合能力とコストを加味すると、結局はCH-53に行き着くわけです。

ほとんど新造である以上、その価格は約130億円とされますが、現代もCH-53の有用性は変わらず、少なくとも227機を調達します。そのため、今後もオスプレイとともに、上陸作戦では揚陸艦から飛び立ち、引き続き海兵隊の輸送を担います。

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