自衛隊も配備するV-22オスプレイの性能、事故率とは？

固定翼機＋ヘリの輸送機

陸上自衛隊が使う輸送機のうち、最新型は「V-22オスプレイ」ですが、その導入を巡って論争が起き、かつて事故率が問題視されました。

問題は在日米軍の導入時までさかのぼり、運用が進むにつれて世論は落ち着き、現在はあまり聞かなくなりました。

そんなオスプレイはどのような機体なのか？

• 基本性能：V-22オスプレイ

オスプレイは英語で「ミサゴ（猛禽類の鳥）」の名を持ち、固定翼機としての飛行性能を確保しながら、ヘリのように垂直離着陸する「VTOL機」です。

両翼の先端を傾ける「ティルト・ローター」を使い、ヘリと固定翼機の利点を組み合わせた形ですが、ヘリと比べて航続距離や速度は優れています。

オスプレイ（出典：陸上自衛隊）

それゆえ、ヘリより速く・遠くまで人員を運ぶほか、飛行場がない場所にも降り立ち、作戦運用における柔軟性を高めました。すでに米軍では400機以上のオスプレイを買い、イラクとアフガニスタンで実戦投入してきました。

陸自は望んでいなかった？

日本は17機のオスプレイを購入したうえで、九州の佐賀駐屯地（佐賀空港）に配備しました。有事では「水陸機動団」を空輸するため、彼らが拠点を置く佐世保に近い佐賀を選びました。

しかし、その導入は陸自側の要望ではなく、「政治的意図」が作用したと言われています。在日米軍のオスプレイ導入で反対意見が飛ぶなか、同じく自衛隊に導入して慣れてもらい、世論を落ち着かせる意図がありました。

陸自の立場からすると、いきなり押しつけられた感が否めず、17機という配備数にも表れています。

オスプレイとCH-46の比較（出典：防衛省）

従来のCH-47J輸送ヘリに比べると、オスプレイは航続距離と速度では上回り、高速で洋上飛行できる以上、南西方面への機動展開では役立ちます。

されど、韓国・フィリピンに緊急展開する米海兵隊と違い、自衛隊は南西諸島より遠くには出動しません。

オスプレイの特性をふまえると、1,000km以上の距離を高速で飛び、垂直離着陸する場合は適任とはいえ、陸自は「オーバー・スペック」と考えている節があります。

それならば、使い慣れたCH-47を追加で買い、機種転換の手間を省きたかったようです。

防衛費の増額にともなって、自衛隊は「買い物リスト」を提示したものの、そこにはオスプレイの文字は見当たらず、逆にCH-47は約30機も追加調達されます。このことからも、陸自の本音はオスプレイではなく、CH-46だったと推測できます。

一方、すでに調達してしまった以上、離島防衛に向けて運用体制を整えるしかありません。オスプレイが離島防衛で役立つのは変わらず、米軍の機体が海上自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」に着艦したり、陸自のオスプレイに米軍が乗り込むなど、日米の相互運用能力を高めてきました。