乗れる人と他の用途
政府専用機は皇族や総理大臣が使うイメージがあるものの、これは要人輸送という複数ある使用ケースのひとつにすぎません。
しかも、この「要人」の定義はかなり広く、国賓や衆参両議長、各大臣、最高裁判所長官まで含まれます。とはいえ、実際には皇族と首相に限られていて、あとは首相外遊時に閣僚が同乗するぐらいです。
ほかにも、在外邦人の緊急輸送に使われることがあり、海外テロ事件での邦人救出や犠牲者の遺体搬送に使われてきました。一例をあげると、近年ではタリバン支配下のアフガニスタンから日本人を救出するために派遣されました。
さらに、あまり知られていない使い道としてあげられるのが、有事での戦力輸送です。これは北海道の陸自隊員を念頭においたものですが、ほかの空自輸送機を使わずに投入する可能性は低いでしょう。
日本の「空飛ぶ官邸」
さて、政府専用機の内部についてはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
民間機とは異なる広々とした空間や会議室、執務室が思い浮かぶはずです。
これらイメージは間違っておらず、政府専用機内には貴賓室や会議室、秘書官室などがあって、政府首脳が問題なく仕事できるようになっています。
政府専用機内の会議室(出典:首相官邸)
首脳クラス以外では、官僚などの随行員向けの座席、同行記者用の一般席が設けられており、前者はビジネスクラス、後者はプレミアム・エコノミーのシートに該当します。
ただ、メディア各社から派遣される同行記者とはいえ、さすがに無料搭乗とはいかず、民航機と同等額を払う仕組みです(会社持ちの経費でしょうが)。
また、初代専用機から2代目への移行時に以下の改善が行われました。
- 記者会見スペースの廃止
- 会議室の拡張・機能強化
- 機内Wi-Fi、エンタメ設備の追加
初代政府専用機の座席
政府首脳と随行員、記者などを乗せて飛ぶ政府専用機は、まさに「空飛ぶ官邸」と表現されるべき機体ですが、アメリカのエアフォースワンよりは司令部機能、特に軍事作戦などを指揮管理する能力で劣るそうです。
こうした緊急管理機能に加えて、そもそもの危機意識でもかなり心許なく、政府専用機でありながら、2014年まではあの「フライト・レーダー24」に位置情報などが表示されていました。
当たり前ですが、政府専用機の詳細位置は機密事項にあたり、悪用されたら一国の首脳陣を一挙に失いかねません。それが10年前まで誰でも見れたわけですから、危機意識が欠如していたとしか思えません。
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