大戦果をあげた「聖ジャベリン」
さて、ジャベリンは初実戦のイラク戦争で多くの旧ソ連戦車を撃破しており、アフガニスタン戦争の対テロ戦闘でも陣地破壊などで大活躍しました。
ただ、ジャベリンの名前を一躍有名にしたのは、ロシア=ウクライナ戦争における大戦果であるのは間違いありません。
自慢の装甲部隊で侵攻するロシアに対して、アメリカは多数のジャベリンをウクライナに供与したところ、ロシア軍の戦車や装甲車両は次々と撃破されました。
むろん、ロシア側も手をこまねいていたわけではなく、トップ・アタック対策として戦車上部に鉄製ケージをつけたりしたものの、弾薬庫に引火して吹き飛んだ多くの残骸を見る限り、あまり効果はなかったようです。
世界最高峰の性能を証明した(出典:アメリカ軍)
実戦でも90%以上の命中率を叩き出すなか、そもそもロシア戦車を倒すべく作られた兵器なので、ロシアの侵略を受けるウクライナにとって、まさに救世主になりました。そして、それは現地で感謝と親しみを込めて「聖ジャベリン」と呼ばれるほどです。
3,000〜4,000両ともいわれるロシア軍の戦車損害のうち、ジャベリンの戦果がどれほどかを把握するのは難しく、その詳細はわかりません。しかし、ロシア戦車に対して想定通り、あるいはそれ以上の猛威をふるってきたのは間違いなく、世界最高峰の対戦車ミサイルであることを証明しました。
では、一気に名をあげたジャベリンを日本が導入する可能性はあるのでしょうか?
欧州における今回の戦争は自衛隊にとっても他人事ではなく、むしろ現代戦に関する多くの教訓をもたらします。
しかし、陸上自衛隊は「和製ジャベリン」とも呼ばれる「01式軽対戦車誘導弾(LMAT)」を約1,100セット配備しているほか、カール・グスタフ無反動砲やパンツァーファウスト3も運用しています。
ほかにも、車両搭載型の対戦車ミサイルを複数運用しているなど、すでに対戦車火力はかなり充実しており、あえてジャベリンを購入する理由はありません。
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