B-2の後継機として
アメリカ空軍の圧倒的強さの秘訣は、航空優勢を完全確立したうえで敵に打撃を与え続ける能力ですが、その一翼を支えるのが戦略爆撃機という飛行機です。
核抑止でも重要な役割を担うこの戦略爆撃機は、米空軍で現在3つの種類が運用されており、「世界一高価な飛行機」とも言われるB-2ステルス爆撃機はそのひとつです。
しかし、これらの機体は老朽化が進んでいることから、2022年12月に次期戦略爆撃機「B-21」の存在が正式発表されました。
全 長 | 20m |
全 幅 | 50m |
全 高 | 5m |
乗 員 | 2名 |
速 度 | 時速1,000km |
航続距離 | 11,000km |
高 度 | 15,000m |
兵 装 | 各種爆弾 長距離ミサイル 核爆弾・核ミサイル |
価 格 | 1機あたり約950億円 |
アメリカの次期ステルス爆撃機であるB-21は「レイダー(Raider)」という愛称がつけられていますが、これは太平洋戦争で初めて日本本土を空襲した「ドーリットル隊」の通称から取ったもので、日本語では「侵入者」という意味を持ちます。
最終的に100機以上を配備予定のB-21は、前述のB-2爆撃機、そしてマスコミが「死の白鳥」とよく誤称するB-1ランサー爆撃機を置き換える機体として開発されました。
見た目はB-2とよく似ていますが、最新技術を使ったステルス性能は確実な進化を遂げており、中国が開発中の対ステルスレーダーでも探知不能とされています。B-2ですら探知が極めて難しいのを考えると、そのさらなる上をいくB-21は既存レーダーにはまず映らないでしょう。
レーダーに映らないということは、そもそも発見できないのは言うまでもなく、仮にミサイルを差し向けても上手く誘導できません。
コストを抑えられるかどうか
気になるコスト面は、100機以上の量産でB-2よりは安くなる見込みです。しかし、ステルス性を維持するためのコーティング、メンテナンスで莫大な費用がかかる点はB-2と変わらず、最終的に同じようなコストに膨らむかもしれません。
装備については、各種爆弾、長距離ミサイル、核兵器まで搭載できるのみならず、B-2にはなかった無人飛行機能が新たに与えられました。この機能を使えば、危険度の高い任務で乗員を失う恐れはなくなるものの、1機あたり950億円の超高額機の損失リスクは残ります。
それでも、軍事技術面でも急成長を遂げた中国に対抗するには、老朽化した爆撃機を最新ステルス機に更新する必要があります。
米空軍の期待を背負うB-21は2025〜2027年に初期配備が始まり、2040年頃までには退役するB-1、B-2爆撃機を全て更新する予定です。
ここで注目したいのが、1950年代に運用が始まったB-52爆撃機がエンジン換装と延命改修によって現役続投となり、B-21とともに米空軍の戦略爆撃機体制を支える点。
つまり、アメリカは高価で最新のB-21ステルス爆撃機と老兵のB-52を組み合わせた「ハイ・ローミックス」体制を目指すわけですが、それは同時にB-21の開発が失敗できないことを意味します。
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