驚異の命中率！03式中SAM改の性能と編成、価格とは？

陸自の防空の要

「防空」は航空自衛隊の役目とはいえ、陸上自衛隊も地上部隊を守るべく、多数の対空装備を持ち、特に高性能なのか「03式中距離地対空誘導弾（中SAM）」です。

「ホーク・ミサイル」の後継であって、米軍ですら高評価する実力を誇り、国産ミサイルの地位を確立しました。

• 基本性能：03式中距離地対空誘導弾（改）

03式中SAMの導入は2003年に始まり、中距離防空の要になることから、全国の高射特科群に配備中です。陸自の地対空ミサイルでは最も射程が長く、味方部隊や重要エリアの防空に加えて、空自が撃ちもらした目標を撃墜するなど、「PAC-3」とともに広域防空を支えています。

ただ、PAC-3が対弾道ミサイルに注力する以上、相対的に03式中SAMの重要性は高まり、巡航ミサイル・航空機の迎撃になれば、むしろ状況次第では主役かもしれません。

システムの中身を説明すると、垂直発射方式の発射装置（6連装）を使い、高い機動展開性を確保したほか、運搬装填装置で再装填作業を効率化しました。

ここに戦闘指揮と射撃管制、対空レーダー、再装填装置、電源装置などが加わり、全体を6つの車両に搭載しながら、ひとつの自走防空システムを構成します。大がかりなシステムにもかかわらず、その運用要員は50人から20人に減り、大幅な省人化にも成功した形です。

1個高射中隊ひとつのシステムを置き、4個中隊で1個高射特科群を編成してきました。したがって、1個高射特科群あたり4つのシステム、計24発のミサイルを運用します（予備弾を除く）。

また、レーダーは100個以上の目標を捕捉後、脅威度の高い順に12個を選び、それらを同時追尾できます。さらに、早期警戒管制機とのデータリンク、電波妨害への対抗を行い、遠距離攻撃に対処できるようになりました。

「ミニ・イージス艦」並みと評されるなか、発射後のミサイルは射撃管制装置で誘導したあと、最終的には自ら目標をとらえて突入する仕組みです。そして、その射程は最低でも60km以上はあるそうです。

実際はもっと長いものの、最高級の防衛機密なのは変わらず、さすがに公表されていません。敵を疑心暗鬼にさせたり、ためらわせる心理的効果を狙い、あえて曖昧にしたと考えられます。