雷速70ノット？89式魚雷の恐るべき威力について

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海自潜水艦の主要兵器

水上艦艇にとって魚雷は脅威であり、1本でも吃水線下に命中すれば、船内に大量の海水が流入します。これが船の真下で爆発した場合、「バブルパルス」という現象が起き、その船体は真っ二つに切断されます。

現代は水雷戦と航空機の雷撃が廃れたものの、潜水艦の主要兵器なのは変わらず、海上自衛隊の潜水艦も「89式魚雷」を使用中です。

89式魚雷は三菱重工業が製造を担い、1970年〜80年代にかけて開発されました。区分的には「長魚雷」になり、水上艦が近距離攻撃に使う「短魚雷」と比べて、全長と射程が長いです。

海自が運用する潜水艦のうち、「おやしお型」「そうりゅう型」が89式魚雷を使い、後者は発射管の自動装填装置に対応するべく、改良型の「89式魚雷（B）」を搭載しました。

89式魚雷の概要（出典：防衛省）

89式魚雷は高性能センサーを持ち、その追尾能力を高めながら、射程と到達可能深度を向上させました。この攻撃力強化に加えて、「雷速70ノット（時速130km）」を誇り、30ノット（時速55.5km）が限界の水上艦からすると、回避運動だけではかわしきれません。

誘導には自ら音波を出す「アクティブ・ソナー」、目標の音をとらえる「パッシブ・ソナー」の両方を使い、有線ワイヤーによる精密誘導にも対応しました。

ライバルの「Mk48魚雷（アメリカ）」と比較した場合、あまり基本性能では変わらないものの、到達深度と射程、速力では89式魚雷が上回ります。

日本は島国である以上、潜水艦は「戦略兵器」の一種になり、その主武装たる魚雷は超重要です。

現代潜水艦は対艦ミサイルを撃てるとはいえ、魚雷の方が回避行動や迎撃が難しく、メインの攻撃手段であるのは変わりません。

魚雷は旧海軍時代からの得意分野であって、89式魚雷は伝統をしっかり受け継ぎながら、現代戦に適用した国産兵器といえます。

一方、おとり装置の進化に加えて、ジャミングなどの対抗手段の開発が進み、最近は89式の能力不足が指摘されてきました。これらに対処するとともに、水深の浅い沿海域での探知力を高めるべく、海自では新たに「18式魚雷」を開発しました。

「たいげい型」潜水艦以降は18式魚雷を使うも、潜水艦22隻体制が完成してから日が浅く、依然として「おやしお型」「そうりゅう型」を運用中です。

これらが現役で働く限り、89式魚雷も引退はできず、その重要性はしばらくは変わりません。