日本が目指す新型無人潜水艇
無人機(ドローン)の活躍と比べて目立ちませんが、海における無人技術も着実な発展を遂げていて、ウクライナの無人水上艇がロシア海軍に損害を与えたり、米海軍にいたっては無人艦隊を試験運用中です。
こうしたなか、日本も遅れを取るまいと動きを加速させており、すでに戦闘支援型の多目的無人水上艇(USV)の研究が決まりました。これに対して、海中では「長期運用型UUV」という新しい無人潜水艇の開発が進められています。
- 基本性能:長期運用型UUV
全 長 | 10〜15m |
直 径 | 1.8m |
動 力 | 燃料電池 |
潜行期間 | 1週間 |
この新型UUVは今までと違って自律航行が可能なタイプで、敵に対する警戒監視や偵察、海洋観測、水中機器の設置などに投入予定です。
これら多目的任務に対応するため、新型UUVはカメラ、ソナー、通信機器のほかに、交換式のモジュールを使って必要機能の追加・取外しを行います。専用モジュールで開発コストを抑えつつ、すばやい入れ替えによる即応性と多目的能力を目指した形です。
試験運用中のUUV(出典:防衛装備庁Youtube)
また、無人なので危険度の高い任務に投入するハードルが低く、敵勢力圏への単独進出や長期潜入に使われる見込みです。そして、水中センサーなどの設置能力は機雷敷設にも応用できるので、「うらが型掃海母艦」のような有人艦艇にとって危険すぎる状況では最有力オプションになります。
将来は日豪共同開発も
防衛装備庁の公式Youtubeでも公開されたように、長期運用型UUVは試験運用までされている段階で、改良型を含めて2027年度の開発完了を目指しています。
現時点では研究が主目的ですが、将来的には無人潜水艇の多数同時運用も狙っているので、今回の研究成果をベースに量産タイプが登場する可能性は大いにあります。
さらに、準同盟国・オーストラリアとの無人潜水艇の共同研究も決まり、相互運用を通して中国に対する警戒監視能力を高めるつもりです。
日豪両国は約7,000kmも離れているとはいえ、対中国を見据える東経135度上の友人であり、無人潜水艇の共同研究は実質的な同盟強化をもたらします。もし、無人潜水艇を用いた共同の哨戒網を作れたならば、日本は南シナ海と南太平洋、オーストラリアは東シナ海と西太平洋に対する情報収集能力を獲得して、お互いの届かない範囲をカバーできます。
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