対潜はお任せ!「あさひ型」護衛艦の優れた性能について

自衛隊の護衛艦 自衛隊
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違いは対空重視か対潜重視か

第二次世界大戦で米潜水艦に数多の艦艇を沈められ、海上輸送路を破壊された日本ですが、戦後はこの反省を活かしてひたすら対潜水艦能力の向上に努めてきた歴史があります。

そのため、海上自衛隊は「対潜の鬼」と称されるほどの腕を持つまでに至り、この対潜重視の姿勢は現在も変わりません。

今でも新型護衛艦が建造される度にソナーなどの対潜装備を強化していますが、就役中の艦艇で特に「艦隊の対潜担当」として期待されているのが「あさひ型」です。

⚪︎基本性能:「あさひ型」護衛艦

排水量 5,100t (基準)
全 長 151m
全 幅 18.3m
乗 員 230名
速 力 30ノット (時速55.6km)
兵 装 5インチ速射砲×1
20mm CIWS×2
垂直発射装置×32
対艦ミサイル×8
3連装短魚雷発射管×2
艦載機 SH-60K哨戒ヘリ×1
価 格 1隻あたり約700億円

「あさひ型」護衛艦は2018年に登場した新しい護衛艦であり、「あさひ」「しらぬい」の2隻が建造されました。

見た目や基本設計、装備面はその前に建造された「あきづき型」護衛艦によく似ていて区別が難しく、もはや準同型艦と称してもいいかもしれません。

あえて外見上の違いをあげるならば、「あきづき型」は平面型の多機能レーダーを艦橋前部と後方の格納庫上部に分散配置しているのに対して、「あさひ型」では4つ全てを艦橋部分に集中させました。

また、「あさひ型」はガスタービンと電気推進を併用するハイブリッド機関「COGLAG方式」を護衛艦として初めて採用したため、省エネによる航続距離の延伸が期待されています。軍艦といえども「地球に優しく」という環境配慮の流れには抗えないようです。

艦橋集中型の「あさひ型」(左)と分散配置の「あきづき型」(右)(出典:海上自衛隊、筆者加工)

能力面で「あさひ型」「あきづき型」を比べた場合、最大の違いは僚艦防空能力の有無です。

和製イージスとも言われる「あきづき型」は、弾道ミサイル対応に追われるイージス艦に代わって艦隊防空の一部を担い、自分以外の僚艦も守れる能力を持っています。一方、「あさひ型」にはこうした防空能力がありません。

したがって、同じESSM対空ミサイルこそ搭載しているものの、防空レーダーの探知範囲は「あきづき型」より狭く、あくまで自分に迫り来る目標に対応するのが前提です。

ただし、複数の目標に対して同時対処する能力は持っていて、探知範囲もレーダーの改修で拡大可能とされています。

同時対処可能な目標数は4〜6個と推定され、「あきづき型」の8〜12個には劣るものの、個艦防空には十分なうえ、その分だけ僚艦防空を担う艦艇の負担が減ります。

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