KEPD350・タウルス巡航ミサイルがもたらす強い威力

タウルス巡航ミサイル 外国
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二重弾頭を使った貫通力

ロシアの一方的な侵略を受けて、ウクライナは西側諸国にあらゆる軍事支援を求めてきました。こうしたなか、イギリスが空中発射型の「ストーム・シャドウ」を提供したところ、長距離ミサイルの供与という扉が開きました。

一方、ドイツは再三の要請にもかかわらず、自国の「KEPD350・タウルス巡航ミサイル」の供与をしぶり、毎度のごとく失望感を与えています。

ストーム・シャドルに続いて期待されたものの、解禁されなかったこのミサイルはどのような兵器なのか?

  • 基本性能:KEPD350タウルス巡航ミサイル
重 量 1,400kg
全 長 5m
直 径 1.015m
速 度 マッハ0.95(時速1,170km)
射 程 500km以上
価 格 1発あたり約1.4億円

タウルスはドイツ・スウェーデンの共同開発により、2005年に登場した空中発射型の巡航ミサイルです。一定のステルス性と500km以上の射程を持ち、約480kgの二重弾頭は地下陣地さえ破壊できます。

その高い貫通能力は司令部など重要拠点の攻撃に役立ち、もしウクライナに提供された場合、ロシア軍の後方安全圏はさらに後退せざるをえません。

タウルス搭載のトーネード戦闘機(出典:ドイツ空軍)

使い方については、あらかじめ目標位置と飛行経路を入力しておき、あとは赤外線画像や地形照合機能を用いながら、自らの能力で低空飛行します。なお、誤爆の危険性があれば、指定地点に墜落させるなど、巻き添えのリスクを減らしました。

供与しないのは恐いから

ドイツ以外ではスペインと韓国が買ったものの、開発国のスウェーデンは導入しておらず、主力戦闘機の「サーブ39 グリペン」で実証試験したたけでした。

そんなタウルスを熱望するウクライナですが、すでに運用中のストーム・シャドウと同じく、戦闘機の改修で使えるはずです。実際に入手できれば、ロシア側の後方拠点を吹き飛ばせるため、その影響は決して小さくはありません。

ところが、ドイツはロシアへの過度な刺激を怖がり、供与の要請に対して許可を出しません。

ロシアは戦争初期から核兵器の恫喝を行い、NATO諸国をけん制してきましたが、ここでも抑止効果が働いている形です。

たしかに、タウルスの射程はストーム・シャドウのみならず、アメリカの短距離弾道弾「ATACMS」より長く、その意味では緊張度合いをワンステップ上げるでしょう。

しかし、ロシアから威嚇を受けながらも、西側諸国は主力戦車から戦闘機まで提供しており、いわゆる「レッドライン」は脅しにすぎないと判明しました。

レッドラインを超えても、実際に彼らができることは限られるほか、これ以上は悪化できないぐらい、西側との関係は冷え込んでいます。

そもそも、すでにウクライナは長距離ミサイルでロシア軍を狙い、最後のハードルだったATACMSでさえ到着済みです。

ここにタウルスが加わったところで、ドイツが恐れるほどの刺激にはならず、「レオパルト2戦車」などの高性能兵器を出している時点で、すでにロシアとは敵対関係、間接的な交戦状態にあります。

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