戦後初の独戦車は軽装甲
ドイツは第二次世界大戦で傑作戦車を作りながら、敗戦で軍事制限と兵器開発の禁止を強いられました。ところが、東西冷戦で西ドイツが最前線になると、再軍備を許されたうえで、今度はアメリカ製の戦車が与えられます。
その後、戦後初の国産戦車「レオパルト」に取り組み、1965年には早速配備されますが、これが欧州標準の戦車となる「レオパルト・シリーズ」の始まりでした。
- 基本性能:レオパルト1戦車(初期型)
重 量 | 40t |
全 長 | 9.54m |
全 幅 | 3.25m |
全 高 | 2.61m |
乗 員 | 4名 |
速 度 | 時速65km |
行動距離 | 約600km |
兵 装 | 105mmライフル砲×1 7.62mm機関銃×2 |
価 格 | 約0.5〜1.2億円(中古) |
レオパルト1戦車は105mmライフル砲を持ち、日本の74式戦車と同じく、戦後の第2世代戦車にあたります。その車内には約60発分の弾薬が収まり、照準器や白色光・赤外線の投光機で射撃する仕組みです。
一方、防弾鋼板の溶接を多用したものの、初期型の装甲は最大70mmしかなく、第二次大戦時のティーガー戦車より薄いレベルでした。なぜかといえば、対戦車ミサイルの登場をふまえると、分厚い装甲で守るには限度があって、むしろ機動力で回避すべきと考えたからです。
それゆえ、初期タイプは戦車砲の直撃にも耐えられず、せいぜい機関砲が限界だったそうです。さすがに改良型では追加装甲が加わり、100mm級の火砲まで耐えられるようになりました。
このように機動力を優先したところ、自動変速機には電気式の油圧制御を使い、当時としては異例の走行性能を獲得しました。そして、低燃費で高出力エンジンにより、約600kmという行動距離のほか、時速65kmの路上機動力を誇ります。
なお、エンジンと変速機は「パワーパック」として一体になり、最短20分で交換できるため、同じく交換可能な砲身とともに、整備性を大きく向上させました。
多くの派生型で人気製品に
レオパルト1は西ドイツ待望の国産戦車になり、最終的には4,700両以上が生産されたうえ、欧州から南米にいたるまでの広範囲に輸出されました。
その過程で防護力強化や命中率の改善が図られるなど、多くの改良型・派生型が誕生しています。
たとえば、「レオパルト1A5」は後継のレオパルト2の技術も使い、新しい射撃管制装置と赤外線暗視機能を搭載しながら、その戦闘力を初期型から飛躍させました。
ほかにも、車体を流用したタイプが1,700両もあり、戦車回収車や橋を架ける工兵車両、あの有名なゲパルト対空戦車として配備されています。
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