巨大なバンカーバスター
以前、アメリカが地下施設を破壊すべく、「GBU-28」という地下貫通爆弾をつくり、「バンカーバスター」の名前を得たと説明しました。
今回はもっと深くまで届き、さらなる破壊力を誇る大型タイプ、「GBU-57A/B」を取り上げます。
- 基本性能:GBU-57A/B
重 量 | 13.6t |
全 長 | 6.2m |
直 径 | 0.8m |
弾 頭 | 2.4t |
貫通力 | 地面:最大60m コンクリート:最大8m |
価 格 | 1発あたり約30億円 |
GBU-57は「Massive Ordnance Penetrator(大型貫通爆弾)」とも呼び、アメリカが2007年から配備している強力な兵器です。
その開発は2003年頃までさかのぼり、イラク戦争では従来型の威力に不満を持ち、より大きな貫通力と破壊力を目指しました。完成したGBU-57は全長6m、重さ13.6トンの巨大爆弾になり、最大で地下60mまで届くとされています。
ただし、これは普通の地面の場合であって、固い岩盤層などがあると、その効果は減衰します。実際のところ、岩盤だと貫通力が約12mまで落ち、地理的条件に左右される兵器です。
一方、鉄筋コンクリートに対して使う場合、その圧縮硬度で貫通効果は変わり、2〜8mのバラツキがあります。
したがって、多くの地下陣地・施設を破壊できるものの、地下60m以上の場所はもちろん、それより浅い地点であっても、地面の条件次第では届きません。
B-2でしか運べない
また、あまりに巨大すぎるゆえ、現在はB-2爆撃機でしか運用できず、1機あたり2発しか運べません。
高高度から投下したあと、GPS誘導で目標地点まで向かい、小型翼で軌道修正しながら、超音速で地面にぶつかります。
その巨体は大きな運動エネルギーを生み、地下深くまで進んでから、遅延信管で爆発します。いわば、重量と加速で食い込み、爆発で人工地震を引き起こす感じです。
なお、爆弾本体は衝撃に耐えるべく、特殊なコバルト鉄合金を用いており、かなり頑丈に作られています。
GBU-57A/B(出典:アメリカ空軍)
これを連続投下すれば、1発目が築いた穴に2発目が入り込み、さらに奥まで到達・破壊できます。理論上はできるとはいえ、超ピンポイントに投下せねばならず、仮に上手くいったとしても、結局は地層と目標の深度次第です。
アメリカはイランの核開発を防ぐべく、2025年6月に実戦投入したものの、核施設を完全には破壊できず、その進捗を遅らせただけでした。この手の兵器開発はイタチごっこになり、現状では地下60m以上に築かれたら、さすがに手出しできません。
「兵器」としての使い勝手は悪く、B-2でしか運用できない状況をふまえて、似た貫通力を保ちながら、より小さな爆弾を思案しています。この場合、新たにロケット推進を使うなど、大きさと重量に依存しない加速が必要です。

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