工兵を支える施設作業車と後継の23式ドーザ(装甲付き)

自衛隊のブルドーザー 陸上自衛隊
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何でもこなす戦闘工兵車

陸上自衛隊は土地整備や陣地構築が多く、工兵部隊の施設科を各地に置き、戦闘部隊を支援しています。

これら工兵部隊は特殊な装備が欠かせず、そのひとつが「ドーザ」という装甲ブルドーザーです。

民間のブルドーザーとは違い、陸自版は装甲化されているうえ、いくつか種類がありますが、今回は「施設作業車」とともに、新しい「23式ドーザ」を紹介します。

  • 基本性能:施設作業車・ドーザ
  施設作業車 23式ドーザ
重 量 28.6t 26t
全 長 8.88m 8.0m
全 幅 3.77m 3.6m
全 高 2.77m 3.3m
乗 員 2名 2名
速 度 時速50km 不明
行動距離 約300km 不明
価 格 約4億円 約5.6億円

まず、施設作業車は建機大手の小松製作所が作り、土壌や障害物をどかすドーザ・ブレードに加えて、ショベル・アームまで備えています。

そのため、ブルドーザーとショベルカーを足したような外見ですが、単独で整地作業から陣地構築までこなす働き者です。しかも、ショベル・アームは作業手順を入力しておけば、コンピューター制御とセンサーを使い、自動で掘削作業を行えます。

土木作業車である以上、非武装車両にはなるものの、小銃弾や砲弾の破片に耐えるべく、最低限の装甲防護力を持ち、そのまま車内から作業可能です。

さらに、対戦車ミサイルの検知器、障害物撤去用の爆薬の格納場所、発煙弾の発射装置など、前線での土木作業を想定しており、いわゆる「戦闘工兵車」に仕上がりました。

演習場の整備や塹壕掘りで役立ち、作業効率が高まったとはいえ、施設作業車は単価が高騰してしまい、第7師団など一部にしか配備されていません。本来は「75式ドーザ」を更新すべく、施設作業車が開発されたにもかかわらず、多くの部隊はいまだ75式を使っています。

新型ドーザの行方

このような状況を受けて、「ドーザ(装甲付き)」の計画名の下、日立製作所が「23式ドーザ」を開発します。これは75式ドーザと比べて、防護力・機動性を高めながら、遠隔操作などの新機能を目指しました。

一方、ショベル・アームがなくなり、障害物の除去能力が低下したほか、単独での陣地構築はできません。あくまで整地作業に重点を置き、単価を抑えようとしたものの、単価は約5.6億円と施設作業車より高くつき、当初の思惑は外れました。

自衛隊の23式ドーザ23式ドーザ(右手前)と施設作業車(左奥)

防衛費の増額にともなって、30両以上は調達予定ですが、75式ドーザの老朽化を考えると、もっと数をそろえるべきでしょう。

戦車や自走砲と比べれば、戦闘工兵車は地味な存在ですが、進軍と防衛線の構築に欠かせず、燃料車両や架橋設備とともに、施設科が本領を発揮するアイテムです。

ロシア=ウクライナ戦争において、陣地構築の重要性が再確認されるなか、戦闘工兵車の価値も高まりました。しかし、他国の戦闘工兵車に比べると、23式ドーザは性能面で劣り、特にシャベル・アームの欠如が響いています。

根本的な作業能力で劣るわけですが、最前線での活動を保証するならば、「まともな」戦闘工兵車が急務です。

あの太平洋戦争をふり返ると、転換点となったガダルカナル島の戦いにおいて、ツルハシ・スコップを中心とした日本軍に対して、アメリカはブルドーザーなどの重機を多く持ち込み、工兵能力の差が現れた戦いでもありました。

工兵視点の歴史的教訓に基づけば、施設科とその装備を充実させることは、正面戦力と同じぐらい重要であり、自衛隊全体の戦力強化につながります。

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