いまだ最強?アメリカ・M1エイブラムス戦車の性能と悪すぎる燃費

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後継は再びエイブラムス?

登場から40年が経つにもかかわらず、エイブラムス戦車はアメリカ本国に加えて、サウジアラビア、エジプトなどに輸出されており、その生産数は1万両以上になりました。

戦車のベストセラーではソ連製と並び、最近だけでも台湾が100両以上、ポーランドが250両を買い、まだ世界各地で運用される見込みです。

ただし、エイブラムスの生産自体は終わり、2,000両以上の保管車両を改修したり、中古車両を再利用するしかありません。

ちなみに、中古品・再利用だから安いわけではなく、米軍向けのアップグレードですら、諸費用は5億円にのぼります(台湾向けは約20億)。

最新型のM1A2 SEPV3(出典:アメリカ軍)

最新の改修型は「M1A2 SEPV3」と呼び、ソフトウェアの更新と情報共有能力の強化により、初期型とは全く違う中身になりました。

さらに「SEPV4」も計画したものの、こちらは最終的には実現せず、次世代戦車の「M1E3」計画に移行しました。M1E3は前述の燃費問題を改善するべく、ガスタービンからハイブリッド式に変わり、従来型より40%も燃費が良くなるそうです。

また、軽量化で重さは54トンまで減り、新型砲塔には自動装填装置を搭載します。現代戦の教訓をふまえて、自爆ドローンの運用を考えているほか、アクティブ防護システム(APS)を通して、対戦車兵器の無効化を狙います。

この後継構想でややこしいのが、「エイブラムスX」という新型車両もある点です。

念のために言っておくと、エイブラムスXは実証兵器という扱いになり、正式採用が決まったわけではありません。これに対して、M1E3は米陸軍の要求に基づぎ、新たに開発される改良型です。

現代地上戦で通用するのか

最新型の配備が進み、海外輸出も好調のなか、計31両が供与されたウクライナでは損害も出ています。

ロシア軍の侵略を受けて、ウクライナは早い段階から西側戦車を求めてきました。最終的にイギリスのチャレンジャー2を皮切りに、ドイツのレオパルト2戦車が届き、アメリカも重い腰を上げながら、エイブラムスを供与しました。

ところが、自爆ドローンに撃破されるなど、すでに15両以上の損害車両が出ており、鹵獲車両はモスクワで展示されました。

このような現状をふまえて、エイブラムスですらもう通用しないとの声があります。たしかに、どんな強力な戦車であっても、多数の自爆ドローンが飛び交い、常に突っ込んでくる限り、決して無傷ではいられません。

そうは言いつつも、あくまでエイブラムスは米軍で運用すべく、盤石な兵站能力に支えられながら、圧倒的な航空優勢下で使う想定です。

もしウクライナに米軍が派遣されたら、まずは自慢の空軍力で航空優勢を確保して、ロシア軍の陣地と防衛線をひたすら叩くでしょう。ロシア側の地上部隊を爆撃しまくってから、ようやく米軍の戦車部隊が繰り出すはずです。

つまり、アメリカが空を支配できる限り、エイブラムスの優位性は活かせます。

なお、現代戦は電子機器を含むソフトウェア、陸海空による連携が欠かせません。これもアメリカが豊富な運用実績を持ち、それを反映した最新型のエイブラムスともなれば、さらなる優位性を発揮できます。

ふりかえると、エイブラムス戦車は攻・守ともにバランスがよく、ソフト面を含む総合能力では「最強」のままです。

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