米豪は導入、日本は中止
LRASMを航空機で運用する場合、B-1爆撃機やF-35戦闘機などに搭載しますが、空中発射は距離を稼げることから、本来の長射程攻撃に向いています。
一方、水上艦船では垂直発射システム(VLS)で運用できるほか、開発元のロッキード・マーチン社は潜水艦搭載型も検討中です。
ちなみに、LRASMはアメリカ海軍が使っているものの、ライバル兵器のNSMミサイル(ノルウェー)もあるため、ハープーンの後継として安泰ではありません。
NSMは同じステルス・長射程の特徴を持ち、沿海域戦闘艦(LCS)や「コンステレーション級」フリゲートで採用されています。
したがって、両者はトマホークの改良型も交えながら、激しい受注競争を繰り広げるでしょう。
ここで世界に目を向けてみると、他国ではオーストラリアが導入しており、日本も一時期は検討していました。
日本はF-15J戦闘機での運用を考えましたが、改修費用が当初の3,000億円から5,500億円に高騰したところ、最終的に購入を中止しました。
多額の費用で無理に買わずとも、12式地対艦ミサイルの能力向上型で代用できるとされたわけです。ただし、同じF-15向けの対地ミサイル「JASSM-ER」は予定通り購入します。
台湾有事における本命兵器?
日本が導入をあきらめたとはいえ、LRASMは台湾有事での切り札にあたり、いわゆる決戦兵器として期待されています。
アメリカのシンクタンク「CSIS」のシミュレーションにおいて、中国海軍とその兵站能力を壊滅させるには、LRASMが欠かせないとされました。
B-1爆撃機に24発ものLRASMを積み込み、安全なアメリカ本土から出撃しながら、中国軍を射程外から遠距離攻撃する手はずです。
しかし、LRASMは生産配備数が足りておらず、同シナリオでも指摘されています。
その結果、本来は対地用のJASSM-ERに白羽の矢が立ち、対艦攻撃にも使う案が浮上しました。
実際のところ、JASSM-ERが対艦攻撃に向いているかは分からず、LRASMの生産を強化すべきでしょう。

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