警務隊が使うバイク
強力な兵器を持ち、各基地・駐屯地が小さな「町」を形成する自衛隊には、規律維持を目的とした独自の警察組織「警務隊」が存在します。
※警務隊について詳しくはこちら⇩
いわゆる憲兵に該当する警務隊は敷地内の交通安全も担うため、陸上自衛隊では「警務用オートバイ」というレア車両も運用中です。「自衛隊版の白バイ」と呼ばれるこの単車は、駐屯地内のパトロールや交通違反の取り締まり、高官などが乗ったVIP車両の先導と警護に使われます。
自衛隊施設では侵入者などの異常を発見・防止するために定的的なパトロールが行われていて、広大な駐屯地では白バイやパトカーでの巡回が欠かせません。また、敷地内は広くても、時速20〜30kmの速度制限がある場合が多く、白バイで交通指導の目を光らせているのです。
一般警察と違う排気量
警務用オートバイは白色の車体に赤色灯とサイレンなどを装備しており、一般警察が使うものと似ています。
しかし、あくまで駐屯地内の取締りを行う警務用オートバイはスピード違反を追いかける想定をしておらず、速度計測の機材もありません。排気量も警察が750cc以上の大型バイクを使うのに対して、警務用は300〜400cc級の中型バイクを採用しました。
さすがに駐屯地内で速度超過する不届き者はいないので、陸自の白バイはスピードとパワーをあまり重視していない形です。
しかも、中型バイクであれば免許証は「普通2輪」があればよく、乗り手の育成は大型バイクよりハードルが低いといえます(白バイである以上、それなりの運転テクニックはいりますが)。
2種類のヤマハ製バイク
ところで、陸自のバイクといえば、山間部も駆け抜けられる「偵察用オートバイ」が有名ですが、激しい走行をしない警務用の単車はオフロードタイプではなくロードスポーツタイプとなっています。
以前はホンダ製を使っていたものの、現在はヤマハの「XJR400」と2019年に採用された「MT-03」に更新中です。
⚪︎基本性能:XJR400・MT-03
XJR400 | MT-03 | |
重 量 | 180kg | 194kg |
全 長 | 2.03m | 2.09m |
全 幅 | 0.73m | 0.75m |
全 高 | 1.2m | 1.4m |
排気量 | 399cc | 322cc |
速 度 | 時速160km | 時速160km |
価 格 (市場) |
約90万円 | 約70万円 |
駐屯地祭などで見られる偵察用に対して、警務用オートバイは全国に50台ほどしか配備されておらず、極めてレアな装備となっています。
したがって、一般人はおろか陸自隊員ですら目にする機会があまりありません。おそらく、もっとも高確率で見られるのは、高官や海外VIPが頻繁に行き交う市ヶ谷駐屯地で、そこで交通統制や先導を行う第302保安警務中隊の白バイでしょう。
コメント