ウクライナがロシアに逆侵攻した狙いとは何か?

ウクライナ軍の戦車 外国関連
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捕虜交換に向けた補充

もうひとつ言われているのが、捕虜交換用にロシア兵を捕らえること。

交戦状態にあるといえども、両者は定期的に捕虜交換を行っており、兵力で劣るウクライナは実戦経験のある兵士を取り戻したいのが本音です。

すでに600人近い捕虜を得たなか、今回の逆侵攻では徴兵されたロシア人が多く捕らえられました。じつは同じ捕虜でも、徴募兵の方が志願兵よりも優先的に交換されます。

ロシアでは志願兵のほかに、毎年10万人規模が徴兵されていますが、これらは法律によって外国には派遣できません。つまり、同じロシア兵であっても、志願兵は前線に送られるのに対して、徴兵された場合は後方勤務や国境警備になります。

あのプーチン大統領も、徴募兵は「特別軍事作戦」には送らないと約束しました(実際には反故にしているが)。

降伏するロシア兵 投降するロシア兵たち

そもそも、徴兵自体が極めて不人気なうえ、ロシア社会は徴募兵の戦死・負傷にはかなり敏感です。自ら志願したならばともかく、無理やり入隊させられたあげく、見知らぬ土地で死んだとなれば、その家族から受ける批判のレベルが異なります。

プーチン政権としても、なるべく追加徴兵を避けつつ、士気や練度の低い徴募兵を比較的安全な国境警備にあてました。

そして、この国内政治的に痛いところを突かれて、徴兵されたばかりの多くの若者が死傷・降伏したため、批判が高まる前に解放せねばならず、捕虜交換に応じやすくなりました。

国内権威の失墜

さらに、歴史的に見れば、ロシア本国が侵攻されたのは1941年の独ソ戦以来になり、強い指導者を演じてきたプーチン大統領にとっては屈辱的です。

ロシアにおけるプーチン人気の理由として、NATOと対峙してロシアを守ってきたというのがあります。こうした強いイメージでウケてきたなか、戦争目的をほとんど達成できず、むしろ80年ぶりに本土侵攻を許したことは、その権威を失墜させるに十分です。

プーチン政権の閣僚会議緊急会議を開くプーチン大統領

外国からロシアを守ってきたからこそ、その独裁ぶりを許してきた国民も多く、肝心のロシア本国すら守れないようでは、何のための強権政治か分かりません。

先述の捕虜事情と合わせれば、ロシア国民が不信感や失望を抱き、プーチン政権を少なからず揺さぶりました。

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