価格は重量分の金と同じ?
そんなB-2は最強のステルス爆撃機として君臨しており、あまりに特別な存在であることから、各機はそれぞれ「Spirit of 州名(〇〇州の精神)」という個別名を与えられました。
これは航空機としては異例なうえ、州名をつけるのは戦艦以来である点を考えると、B-2に対する特別な期待感とともに、昔の戦艦に匹敵する兵器だと分かります。
パワー・バランスを左右する存在として、B-2と戦艦は同じ戦略兵器になりますが、かつて戦艦が国家予算を圧迫したのと同じく、B-2爆撃機も「高すぎる兵器」として有名になりました。
1機あたりの金額は約2,200億円にのぼり、「世界一高い飛行機」としてギネスブックに登録されています。ちなみに、戦艦大和が現代価格で約2,500億円なので、やはりB-2は戦艦並みの戦略兵器といえそうです。
その機体は重量分の金(45トン)と同じ価格とされるなか、当初は130機近い配備を目指していたところ、冷戦終結による軍縮の影響も受けて、最終的には21機まで減りました。
高性能の代償はコスト(出典:アメリカ空軍)
では、なぜこんなにも高いのか?
まず、全翼機は複雑な設計から生産費・維持管理費が高く、B-2の場合はステルス性を保つべく、湿度や温度を調整する専用施設も欠かせません。さらに、機体の特別塗装は7年ごとにコーティングせねばならず、高い維持費に拍車をかけています。
あまりに高価すぎるゆえ、その損失を恐れて投入をためらいやすく、2008年にグアムで墜落事故が起きてから、より慎重な運用管理を余儀なくされました。
最高のステルス性と引き換えに高くなり、心理的には使いづらい兵器とはいえ、後継の「B-21レイダー」が開発されたため、運用中の20機は2030年代には退役予定です。
ロシア=ウクライナ戦争、米中新冷戦で核の使用リスクが再び強まり、通常戦力でも米中の差が縮まるなか、中国も全翼ステルス機「H-20」を登場させました。したがって、アメリカは大国間戦争での優位性を保つべく、ステルス爆撃機の価値を再認識しています。

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