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期待通りだが、維持費が高すぎる
SR-71は高高度と超音速を両立させたところ、合計32機が生産されて、ソ連や北ベトナムへの偵察任務に従事しました。
そのうち12機が事故で失われましたが、当初の目論見どおり「撃墜」された機体はなく、ソ連側の対空ミサイルに追われるも、自慢の速さで振り切ったケースもあります。
一方、こうした特殊機体は運用コストが高いのが難点です。
たとえば、SR-71の燃料とエンジンオイルは特別な耐熱仕様になっているほか、その飛行には24時間前からの入念な準備が欠かせません。
加えて、高熱による機体膨張をふまえて、あえて外部のパネルに隙間を設けているのですが、地上ではここから少し燃料が漏れてしまいます。よって、離陸時には必要最低限の燃料しか積まず、その後は空中給油機から残りの分を供給してもらう形です(二度手間な作業)。
こうした複雑な運用方法は、飛行時間あたり約2,500万円という運用コストをもたらし、冷戦終結と人工衛星の能力向上を受けて、「お役御免」になりました。
また、最高マッハ3.3の機体に乗るパイロットの負担はとてつもなく大きく、高高度用の特殊スーツを着用せねばならず、トイレもオムツを履いて対処するスタイルです(これはU-2も同様だが)。
現在はNASAの試験機として一部が使われているほか、いくつかは倉庫や博物館で保管されている状況です。
では、いまだ有人機としての世界最速記録を持つSR-71に後継はいるのか?
じつは、SR-71の倍近い最大マッハ6の極超音速飛行を実現すべく、「SR-72」なるものが開発されています。ただし、もはや有人機の領域を超えているため、こちらはあくまで無人機として2030年頃に登場予定です。
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