コンパクトで高性能
NATO(北大西洋条約機構)の一員でありながら、フランスは独自路線を歩む傾向が強く、ルクレール戦車などの国産兵器を開発してきました。
そんなフランス産兵器のうち、ラファール戦闘機は高いマルチ能力を持ち、海外輸出でも一定の成功を収めています。
- 基本性能:ダッソー・ラファール戦闘機
全 長 | 15.3 m |
全 幅 | 10.9m |
全 高 | 5.34m |
乗 員 | 1名(複座タイプは2名) |
速 度 | マッハ2.0(時速2,450km) |
航続距離 | 約3,700 km(増槽あり) |
高 度 | 約15,800 m |
兵 装 | 30mm機関砲×1 対空ミサイル 対艦ミサイル 誘導爆弾など |
価 格 | 1機あたり約70億円 |
ラファールとは「突風」という意味になり、1980年代にダッソー社が開発した多用途戦闘機です。空母での運用を想定したところ、コンパクトな機体に仕上がりつつも、超音速の巡航能力と高い探知力、電子戦能力を備えました。
配備から約35年が経つとはいえ、ソフトウェア更新などで性能維持を図り、世代的には日本のF-2戦闘機と同じく、第4.5世代戦闘機に分類されています。
最新型の「ラファール F4」はレーダーや情報共有能力を強化しており、ネットワーク型の戦闘に対応するなど、その中身は飛躍的な進化を遂げました。
改修しやすいのも魅力(出典:フランス軍)
フランスはドイツ・スペインと組みながら、次期戦闘機の計画を進めているものの、開発の行方が分からない以上、ラファールの近代化改修も行いながら、現行の運用体制を維持するつもりです。
一方、ライバルのユーロファイター「タイフーン」と比べても、ラファールは能力向上における柔軟性で勝ち、最短2時間でレーダーの換装さえできてしまいます。
最新戦闘機に手が出ない場合、こうしたアップグレードのしやすさは魅力的に映り、実際にインドやギリシア、インドネシアなどが購入済みです。
艦載型は核ミサイルも
ラファールは小型・軽量にもかかわらず、制空から対地・対艦攻撃まで行えるほか、エグゾセ対艦ミサイルのような国産兵器を多く搭載できます。また、NATO標準の兵器にも対応しており、過去にはアメリカの空母で一時運用されるなど、それなるの互換性を確保しました。
空母艦載型は「ラファールM」というタイプですが、これは空母「シャルル・ド・ゴール」の戦闘力の中核を担い、地中海や中東方面の空爆に投入されてきました。
空母艦載機のラファールM(出典:フランス軍)
しかも、射程600kmの「ASMP-A」核巡航ミサイルまで搭載できるため、フランスの貴重な核戦力を支えています。
核保有国のフランスは他国に頼らず、核戦力も自前で調達してきましたが、ラファールはその柱のひとつというわけです。したがって、ラファールは核抑止という点でも、フランスにとって手放せない兵器になります。

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