ソ連圏の主力戦車
ロシアといえば「戦車」のイメージが強く、多くの名戦車を開発してきました。
T-72シリーズは代表例であって、いまも旧東側陣営が使っているほか、ロシア=ウクライナ戦争では両軍が運用しています。
- 基本性能:T-72 B3(最新型)
重 量 | 46t |
全 長 | 9.53m |
全 幅 | 6.86m |
全 高 | 2.22m |
乗 員 | 3名 |
速 度 | 整 地:時速70km 不整地:時速45km |
行動距離 | 約450km |
兵 装 | 125mm滑腔砲×1 12.7mm機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
価 格 | 1両あたり約6億円 |
「T-72」は1973年からソ連で配備が始まり、T-62戦車の後継としてソ連だけではなく、その同盟国・友好国にも大量輸出されました。
高性能で少数配備のT-80戦車に対して、安価な大量配備版として生産されたため、いろんな派生型・改良型を含めると、計30,000両以上が生産されました。
その結果、基本設計が古いにもかかわらず、現在も世界中で使われているうえ、ロシアでは倉庫に多数眠っています。
廉価版とはいえども、当時は珍しいセラミックスを使い、複合装甲で防御力を高めました。そして、強力な125mm砲と自動装填装置を持ち、この戦車の大量出現はNATOを焦らせました。
日本の74式戦車、ドイツのレオパルト1と同世代ですが、当時の最新技術を盛り込み、半歩先の「第2.5世代」に分類されがちです。
西側戦車よりひと回り小さく、その軽い車体は機動性のみならず、悪路や橋梁の通行には有利とされました。しかも、車高の低さは待ち伏せに向き、地形を活かした戦術を得意としました。
ウクライナ軍のT-72(出典:ウクライナ国防省)
まとめると、T-72は攻撃・防御・機動力のバランスがよく、登場後は射撃能力の向上とともに、防護力の強化とエンジン換装を行い、改良型が続々と誕生しました。2013年には「T-72 B3」がロシア軍に届き、最新の改良型として稼働しています。
既存車両の近代化改修とはいえ、世界中に大量販売してきたことから、輸出先での独自改修も多く、もはや運用国・組織の数だけバージョンがある状況です。
また、同じT-72シリーズにもかかわらず、モデルで性能の優劣が分かれており、本家・ロシアが最高級の能力を誇るなか、輸出版には能力を抑えた「モンキーモデル」があります。
それでも、東欧とアフリカ、中東、アジアで40カ国以上が使い、いまなお約2/3の国で現役です。
ただ、東欧諸国は冷戦終結後にNATOに加わり、レオパルト2などの西側装備への更新が進み、T-72シリーズからの脱却を図りました。多くのT-72が余剰車両になり、ロシア=ウクライナ戦争の発生を受けて、同じシリーズを使うウクライナに供与されました。
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