最新の国産地対艦ミサイル
陸上自衛隊は敵艦船の撃破という役目もあって、長らく「88式地対艦ミサイル」を運用してきましたが、現在は「12式地対艦ミサイル」に更新中です。
水上艦船の防空能力が進化するなか、その防空網を突破して確実に撃破すべく、12式地対艦ミサイルは「切り札」として開発されました。
- 基本性能:12式地対艦ミサイル
重 量 | 700kg |
全 長 | 5.0m |
直 径 | 0.35m |
速 度 | 時速1,100km以上 |
射 程 | 200km以上 |
価 格 | 1発あたり約4億円 |
地対艦ミサイルはSSM(Surface to Ship Missile)の略称を持ち、数億円と引き換えに高価値目標の軍艦を撃破できるため、費用対効果に優れた兵器といわれています。
内陸部や山間部から発射すれば、沖合いの敵からは探知されづらく、日本は冷戦期から「地対艦ミサイル連隊」を運用してきました。
地対艦ミサイル連隊は移動展開性が高く、計6発を搭載したトラックに加えて、射撃管制装置や捜索レーダー、再装填装置で構成されます。
12式では哨戒機とリアルタイムで連携できるため、最新の情報に基づきながら、飛行経路が修正可能になりました。しかも、大小の目標に対する識別能力が高く、命中精度の向上が期待されています。
東シナ海全域を射程圏内へ
その射程は約150〜200kmとされるなか、敵の射程外から狙う「スタンド・オフ能力」を獲得すべく、最大1,000kmまで延伸した「能力向上型」が開発されました。
これを南西諸島に配備した場合、東シナ海全域は言うにおよばず、中国沿岸部さえ射程内に収まります。それゆえ、中国海軍の行動を大きく制約できますが、いきなりの沖縄配備は難しく、まずは大分と熊本に先行配備する予定です。
ただ、地理的な利点を考えると、いずれは沖縄にも配備せねばならず、5〜10年以内には実現するでしょう。まずは地元の理解を得やすく、中国側の反発が起きにくい九州から始めた形ですが。
能力向上型の射程圏(イメージ)
この能力向上型にはF-15戦闘機で使うタイプもあって、同じ国産ミサイルの「ASM-3(改)」とともに、航空自衛隊の対艦攻撃能力を飛躍させました。
さらに、射程を1,500kmまで延ばす話も出ており、トマホーク巡航ミサイルによる対地攻撃能力と合わせて、防衛政策の大転換を示す代表例になりそうです。
中国海軍の拡張が止まらない以上、日本側も対応を求められますが、海自は人手も予算も足りておらず、真正面からの対抗は不可能です。
そうなると、費用対効果に優れた長射程ミサイルを使いながら、「日本版A2AD」を築くしかなく、その重要ピースとして12式地対艦ミサイルは欠かせません。
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