少数ながらも働き者
海上自衛隊のヘリコプターといえば、対潜哨戒でおなじみの「SH-60シリーズ」が思い浮かぶなか、少数ながらも「MCH-101」という機体もあります。
これは掃海(機雷除去)と人員輸送を行い、初の欧州機として10機が導入されました。
- 基本性能:MCH-101掃海・輸送ヘリコプター
全 長 | 22.8m |
全 幅 | 18.6m |
全 高 | 6.6m |
乗 員 | 4名+人員20名以上 |
速 度 | 最高時速:約300km |
航続距離 | 約1,300km |
価 格 | 1機あたり約73億円 |
海自は「MH-53E」掃海ヘリを使っていたものの、2000年代には老朽化が進み、MCH-101で更新してきました。その機体にはついては、イギリスとイタリアが共同開発したものがベースになり、他国では対潜哨戒機や早期警戒機、捜索救難機として使われています。
それまでのMH-53よりひと回り小さく、メインとテールローターは自動折たたみ式であるため、艦艇で運用するには問題ありません。通常の護衛艦のみならず、「うらが型」掃海母艦でも運用できます。
なお、レーザー探知機能で効率的な機雷捜索を行い、振動制御装置の搭載で飛行性能や安全性も高まりました。吊上げ用のホイストも備えており、海上救難にも使える汎用機です。

一方、20名以上の輸送能力を持つことから、「特別警備隊(海自の特殊部隊)」を運ぶ役割も与えられました。こうした関係から、全機が特別警備隊を支援する第111航空隊(山口県・岩国基地)に配備されています。
ところで、10機という数が少ないのは確かですが、そもそも海自の掃海ヘリ部隊は小規模であり、MH-53Eの調達数も11機でした。整備点検をふまえると、普段の稼働数は5〜6機になるとはいえ、その役目を果たすうえで問題はありません。
いつも飛ばしている哨戒機とは違い、掃海や特殊部隊の輸送は出番が少なく、対機雷戦も行える「もがみ型」フリゲートの登場により、掃海部隊そのものが縮小されました。
南極向けの機体も
さて、海自ではMCH-101の派生型も使い、3機の「CH-101」を運用中です。
こちらは南極観測船「しらせ」の艦載機になり、陸地まで人員・物資を届けるのが役割ですが、その機体は厳しい気象条件に耐えるべく、寒冷地対策された特別仕様です。
とはいえ、機体構造などは通常型と変わらず、「しらせ」とともに南極にいく場合を除き、普段は同じ岩国基地で訓練・整備が行われています。

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