ほかとの違いは?陸自・中央即応連隊の役割と装備について

自衛隊の中央即応連隊 陸上自衛隊
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柔軟な緊急展開部隊

自衛隊の主任務は国土防衛ですが、最近では在外邦人を保護したり、対テロ任務に就くようになりました。

これらは特殊作戦群(特戦群)の仕事と思われがちですが、彼らは本当の意味での「最終カード」であって、そう易々とは投入できません。

そこで出番となるのが、緊急事態ですぐに行動・対処できる精鋭部隊、「中央即応連隊(中即連)」になります。

  • 基本情報:中央即応連隊
人 員 約700名
創 設 2008年3月
司令部 栃木県・宇都宮駐屯地
任 務 テロ・ゲリラ攻撃への対処
緊急展開による増援
在外邦人の救出・保護
海外派遣時の先遣隊
戦 力 普通科中隊×3
施設中隊(工兵)×1
爆発装置処理隊×1

中即連は普通科連隊(歩兵部隊)にもかかわらず、テロ・ゲリラ攻撃に対して緊急対応を行い、通常より高い即応能力を誇る特殊な部隊です。その即応能力の高さから、有事では現地部隊の増援として働き、多くの海外派遣任務もこなしてきました。

本来、中央即応集団(2018年に廃止)の傘下にあったものの、さらに柔軟な機動運用を行うべく、現在は陸上総隊の直轄部隊になりました。

その任務の特性上、訓練では市街戦や近接格闘、ヘリからの降下訓練などに取り組み、最も実弾消費量が多いと言われるほど、射撃機会に恵まれています。

暴徒制圧訓練を行う自衛官訓練する隊員たち(出典:中央即応連隊)

また、即応部隊として在外邦人の救出、海外派遣の先遣隊を担うことが多く、陸自内では随一の実績を誇ります。

海外希望者を中心に志願者も多く、自衛隊内でも競争率が激しい部署ですが、中即連を志望するにあたって、特に資格などは必要はありません。ただ、即応体制を目指すことから、部隊の平均年齢は30歳前後と若く、約3割がレンジャー隊員だそうです。

いずれにせよ、通常の普通科連隊と比べると、特に体力と知力(特に英語力)が欠かせず、他の精鋭部隊と同様に狭き門になりました。

海外任務を意識した装備

中即連は組織編成でも他の異なり、中核を担う普通科中隊に加えて、施設中隊と爆発装置処理隊が所属するなど、いわゆる工兵部隊が配備されています。

特別な役割を果たすべく、いろいろ装備面では恵まれており、96式装輪装甲車は通常の「A型」ではなく、海外派遣用に重機関銃を取り付けた「B型」です。そして、日本で8両しかないにもかかわらず、在外邦人を救出する部隊であるため、全ての輸送防護車が集中配備されました。

個人装備でも最新の20式小銃を持ち、警護に使う保護シールド(盾)も与えられました。また、屋内での近接戦闘や海外任務を考えて、ほとんどの隊員が9mm拳銃を携行しています。

このように通常部隊と比べて、装備は種類・性能ともに優遇されており、特に海外派遣用のものが多いのが特徴です。これらを使いながら、ジプチや南スーダンに先遣隊として入り、アフガニスタンからの邦人救出でも活躍しました。

特殊作戦群との統合

そんな中即連は特殊作戦団の新設にともなって、2026年には特殊作戦群に統合されます。両者合わせて1,200人規模の部隊になり、陸自内の特殊部隊をひとつのまとめる形です。

しかし、両者の実力差と関係を考えると、実際は中即連が特戦群の下に入り、団本部も宇都宮ではなく、特戦群がある習志野に置きます。中即連側から見れば、事実上の従属にならざるをえず、統合は複雑な気持ちでしょう。

両者を統合するとはいえ、従来の役割はそこまで変わらず、基本的に中即連が海外派遣、実働任務に就きながら、特戦群は最後の切り札として温存するはずです。

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