航空自衛隊の基地警備隊が果たす役割とその課題

小銃を構えた自衛官 自衛隊
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侵入者から基地を守る

航空優勢に戦闘機などが欠かせないなか、これらは地上基地に依存せざるをえず、もし基地が機能不全に陥れば、せっかくの戦力を発揮できません。

それゆえ、航空自衛隊では敵から航空基地を守るべく、「基地防衛」を重視しており、滑走路のある主要基地には「基地防空隊」を置き、地対空ミサイルを配備中です。

ところが、少人数による侵入・攻撃であっても、滑走路やレーダーに十分な損害を与えられます。こうした直接攻撃も想定させねばならず、「基地警備隊」というのが存在します。

この基地警備は基地防衛の一部とはいえ、敵機やミサイルを想定する基地防空とは違い、対人警備を主眼に置いたものです。

主要基地にある基地防空隊とは異なり、基地警備隊は規模の大小を問わず、全国の基地に必ずあります。山奥の小さな分屯基地であっても、警戒監視用のレーダーを運用する以上、必ず守らねばなりません。

基本的には「警備」職種の自衛官が担い、いつもは正門入口で警備したり、基地内を巡回・警戒しています。一方、有事では小火器を使いながら、地上戦を繰り広げるため、職務的には陸上自衛隊に近いかもしれません。

ただ、最近はどこも人手不足にともなって、入口には民間委託の警備員が就く場合も多く、小さな基地では異なる職種を集めながら、基地警備隊を編成しています。

大きな基地は警備犬までいるものの、逆に敷地が広すぎて手が回らず、こちらも苦労は絶えません。そして、有事では分屯基地と同じく、違う職種も招集するそうですが、基地が攻撃されているにもかかわらず、事務仕事をしているわけにはいきませんから。

装備は足りていない?

では、基地警備隊はどのような装備を持っているのか?

まず、どこも保有しているのが「9mm拳銃」「64式小銃」の小火器類。

拳銃はともかく、64式小銃は半世紀前の旧式兵器になり、陸自ではほとんど退役済み、あるいは予備兵器の扱いです。

この古い銃は重いうえに整備性も悪く、あまり命中精度も期待できない、というのが一般的な評価になります。

予算の都合により、空自は後回しになった形ですが、最新装備で身を固めた敵が攻めてきたら、果たして太刀打ちできるのでしょうか。

射撃訓練も十分できているかは怪しく、小銃を構えて口で「バンバン」言うケースも多いです。むしろ、本格的に動き回ったり、実戦並みに空砲射撃ができるのは、基地祭での展示訓練ぐらいかもしれません。

米空軍との共同訓練米空軍との共同訓練(出典:アメリカ空軍)

重装備も軽装甲機動車があるとはいえ、小さい基地では民間車両(パジェロ、ランドクルーザー)を青く塗り、防弾性能は全く期待できません。

対ゲリラ・コマンドを想定する以上、重装備が足りないは仕方ないものの、せめて個人装備は充実させてほしいものです。

ロシア=ウクライナ戦争からも分かるとおり、航空基地やレーダーは最初に狙われやすく、空挺降下なども考えられます。また、大規模な空挺降下ではなくとも、少数の特殊部隊で奇襲したり、小型ドローンによる破壊工作を行えば、一時的な無力化は可能です。

このような事態に対して、現行装備では明らかに足りず、陸自の増援を待つしかありません。

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