決して失敗作ではない
さて、冒頭で「もがみ型」は米海軍の沿海域戦闘艦を参考にしたと述べましたが、この沿海域戦闘艦が失敗作に終わったため、「もがみ型」も同様に失敗作になると危惧する声がありました。
しかし、沿海域戦闘艦は対テロ戦や海賊対策などの新脅威にも対応できる多機能艦として誕生したものの、コスト超過と中国を見据えた正規戦への回帰という事情で「打ち切り」になりました。
「もがみ型」も建造費が高騰すれば別ですが、現時点ではそのような問題は見られず、むしろ毎年2隻の建造を通じてコスト削減に成功しています。こうした新鋭艦を大きな問題もなく、毎年量産できるのは世界的には珍しく、海洋国家に恥じぬ着実な戦力強化を歩んでいるわけです。
ただし、当初は計22隻を建造する予定だったところ、2024年度からは新たなFFM(次期フリゲート艦)に移行するので、最終的に建造される「もがみ型」は12隻となります。
「もがみ型」に求められる役割
そんな「もがみ型」は普段から尖閣諸島を含む周辺海域の警戒監視に従事しつつ、海賊対策などの海外派遣任務もこなして逼迫する汎用護衛艦の負担を軽減できます。
こうした本来は汎用護衛艦を投入しなくてもいい任務に充てられるのが「旨味」ですが、前述のように高い自衛能力を持っているので、有事では正面戦力としても使えます。
さらに、護衛艦でありながら機雷戦能力を有するため、将来的な掃海部隊の縮小と余剰人員の護衛艦・潜水艦部隊への再配置を目指します。
つまり、拡大する任務に拘束されてきた汎用護衛艦を解放して、武装漁民のようなグレーゾーン事態から機雷戦までの幅広い活躍が期待できるわけです。
「もがみ型」の後継となる新型FFMの性能について
12隻の能力向上型FFM
中国海軍の増勢と深刻な人手不足に悩む海上自衛隊は、従来の護衛艦より自動化や省人化を進めた「もがみ型」フリゲート(FFM)を量...
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