エアコンがない欠点
まさに「攻・守・走」を兼ね備えた形ですが、あえて欠点をあげるならば、「エアコン」がついていません。
北海道を前提にしているとはいえ、夏場の車内は危険な暑さになりやすく、乗員からもこの欠点が指摘されてきました。
空調設備という意味では、対NBC兵器(放射能・生物・化学)の空気清浄システムはありますが、これは冷房とは違って快適性とは無縁です。
諸外国と比較すれば、同世代のレオパルトやエイブラムスもエアコンがなかったものの、その後の改良で設置されました。
これに対して、90式はエアコン追設を受けておらず、それどころか後継の10式戦車でも常備されていません。
予算の制約があるとはいえ、年々暑くなる気候下では快適アイテムではなく、もはや命を守るための必須装備です。そして、それは夏場の戦闘では、思わぬ敗因になりかねません(熱中症で乗員が倒れたら意味がない)。
北方配備と10式への更新
さて、90式戦車は計341両が生産されたうえで、富士学校のような教育部隊を除いて、そのほとんどが北海道に配備されました。
広い北海道の地でソ連軍を迎え撃つべく開発されたからですが、本州以南での運用はあまり想定されておらず、50トン超えの車体は全国の主要橋梁のうち、約65%しか通れません。
また、新しい指揮統制システムや無線機の搭載が進められるも、登場から30年以上が経ったことで最新の10式戦車へと順次更新中です。10式の調達ペースを考えると、90式戦車はしばらく現役を続けながら、徐々にその数を減らしていくでしょう。
ところが、世界標準でみれば、まだ全然使えるレベルのため、今後は予備兵器として一定数が保管されます。
これはロシア=ウクライナ戦争での消耗戦を受けた措置で、すでに退役した74式戦車とともに、いざという時は倉庫から引っ張り出して再利用される予定です。
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