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自衛隊の戦車回収車は3種類
戦車回収という課題は日本でも変わらず、陸上自衛隊も70式を皮切りに4種類の戦車回収車が開発してきました。ただし、70式戦車回収車は予算の都合でわずか4両しか作られず、まともな運用は78式からになります。
- 基本性能
78式戦車回収車 | 90式戦車回収車 | 11式装軌車回収車 | |
重 量 | 39t | 50t | 44.4t |
全 長 | 7.95m | 9.2m | 9.1m |
全 幅 | 3.2m | 3.4m | 3.4m |
全 高 | 2.4m | 2.7m | 2.6m |
乗 員 | 4名 | ||
速 度 | 時速53km | 時速70km | 時速70km |
装 備 | 12.7mm機関銃×1、クレーン、ウィンチ | ||
牽引能力 | 38t | 50t | 45t |
吊上能力 | 20t | 25t | 25t |
配備数 | 50両 | 30両 | 5両 |
価 格 | 約3億円 | 約5億円 | 約5億円? |
現在も使われている3種類の回収車は、それぞれ同時期に開発された戦車に合わせて作られました。
これらは基本的に戦車部隊と同じ駐屯地に配備されており、戦車とともに行動できるだけの能力を持ち合わせています。
また、鈍重な戦車を回収すべく、その車体は戦車と同じものを流用したうえで、エンジンも共通化して馬力と牽引能力を確保しました。そして、姿勢制御装置も追加されたため、重心を安定させながら作業できます。
しかも、この流用方式は開発コストを抑えながら、メンテナンスも効率化できるという利点もあります。
一方、装備面では牽引用のウィンチや吊り上げるためのクレーンを持ち、最低限の自衛火器として12.7mm機関銃と煙幕展開器が与えられました。
では、それぞれの回収車を見ていくと、いちばん古い78式は退役済みの74式戦車を想定しているため、90式戦車に対しては力不足が否めません。
したがって、90式戦車への対応は同時期に開発された「90式戦車回収車」が担当します。
90式の役割は従来と変わりませんが、牽引・吊上能力を強化したのみならず、エンジンと砲身のスペアを置くスペースを持ち、これらの交換作業に駆り出されるケースも多いです。
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