成層圏も楽勝?高高度偵察機のU-2ドラゴンレディとは

アメリカの偵察機 アメリカ
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低コストが功を奏して現役続投

こうした冷戦期と比べて中身が大幅にアップグレードされた現在のU-2は、高度な電子・光学センサーの搭載によって目標近辺を飛行するだけで高精度の情報を獲得できるようになりました。

そのため、以前のように領空侵犯をしてまで目標上空を飛ばなくて済むので運用上のリスクは下がりました。

それでは、人工衛星や無人機による偵察が盛んな現代で操縦が難しいU-2をわざわざ使い続ける理由は何でしょうか。

まず、技術進歩によって人工衛星でも高い精度の偵察は可能となりましたが、それでも目標付近まで飛行して正確な情報を集められる航空機には敵わないのが現状です。

また、撃墜されても人命喪失のリスクがない無人機も、整備や飛行時にかかるコストが意外に高く、古いU-2を使った方が低コストで合理的というケースが存在します。

例えば、U-2偵察機の後継として登場した無人偵察機「グローバル・ホーク」は優れた性能を有するものの、維持費を含めて単価は約140億円にものぼります。

U-2ドラゴンレディと後継機のグローバルホーク(出典:アメリカ空軍)

さらに、U-2が人工衛星と無人機の双方に勝るのが「搭載力」で、多くの偵察機材を装備でき、任務に応じた変更も可能です。

これに対して人工衛星は一度打ち上げたら機材変更はできず、グローバル・ホークもU-2ほどは融通が効きません。

このように古くて操縦性が悪いU-2ですが、後継のグローバル・ホークが高コストという難点を抱えている限りは費用対効果に優れた情報収集手段としては未だ利用価値があって、米空軍で現役の20機は今後も改修しながら2050年頃まで運用される見通しです。

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