F-15より安く、高機動?
アメリカは他の追随を許さないズバ抜けた航空戦力を持ち、それを支えているのが数々の高性能戦闘機です。
その一角を占めるF-16戦闘機は、比較的安いにもかかわらず、優れた運動性とさまざまな任務に使える多用途能力があるため、使い勝手のいい機体として愛用されています。
- 基本性能:F-16戦闘機V(最新型)
全 長 | 15.03m |
全 幅 | 9.45m |
全 高 | 5.09m |
乗 員 | 1名 |
速 度 | マッハ2.0以上 (時速2470km以上) |
航続距離 | 4,200km以上 |
兵 装 | 20mmバルカン砲×1 対空・対地・対艦ミサイル 誘導爆弾、ロケット弾 |
価 格 | 1機あたり約80〜90億円 |
いまでこそマルチロール機として有名ですが、じつは当初は空戦向けの軽量戦闘機として開発されました。その後、1978年に運用が始まると対地攻撃や偵察任務も与えられて、制空担当のF-15戦闘機とは違う役割を果たします。
また、戦闘機としては高価なF-15より安く、少数の高額・高性能兵器と多数の低額・低性能兵器を組み合わせる「ハイ・ローミックス」の代表例といわれています(別に性能が低いわけではないが)。
そもそも、F-16が誕生したきっかけも、F-15の価格と運動性能に対して米空軍内で不満があったからです。数をそろえやすく、より優れた加速性能や機動性を持つ戦闘機を欲していました。
その結果、F-16が開発されて、計4,600機以上も生産されるベストセラー機になりました。
優れた飛行安定性と運動性能
F-16の大きな特徴としてよくあげられるのが、翼と胴体の一体化です。この設計によって空気抵抗を減らしつつ、機体の小型化・軽量化を実現しました。
また、従来よりも胴体内のスペースが広くなり、燃料搭載量を増やして航続距離を伸ばしました。
さらに、F-16は最初からフライ・バイ・ワイヤ(FBW)の技術を導入したことでも有名です。これは平たくいえば、パイロットの操縦を電気信号に変えてコンピューターが自動制御するシステムになります。
このコンピューター・アシストはいまでこそ普通にみられますが、当時はかなり画期的な新技術であり、F-16の飛行安定性と良好な運動性能をもたらしました。
安いにもかかわらず、高性能?(出典:アメリカ空軍)
単発式のエンジンについては、最初はコスト節約を目指してF-15戦闘機と同じものを採用しましたが、現在は戦闘爆撃タイプのF-15Eや日本のF-2戦闘機も使っている「F-110エンジン」を載せています。
最高速度こそF-15には負けるものの、独自設計やFBW技術のおかげもあって、とりわけ低高度での運動性能では勝っています。
ちなみに、日本はF-16ではなく、F-15J戦闘機を使っていますが、よく国産扱いされるF-2は実際にはF-16をベースに日米共同開発された機体です。
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