低すぎる稼働率
さて、P-1の開発は2000年から始まり、2013年に部隊配備を開始するも、耐久試験で機体と部品にヒビが入り、似た不具合を抱えていたC-2輸送機とともに、「失敗作」「欠陥」の批判を受けました。
その後、改修で機体の強度不足は直りましたが、配備以降は稼働率の低さに悩みます。会計監査院の調査によると、塩害でエンジンの腐食が進み、稼働率低下の原因になりました。
そもそも、P-1は洋上で低空まで降りるため、塩害で部品が腐食しやすく、開発時から指摘されていました。
さらに、設計ミスで一部の武器を搭載できず、電子機器の不調と部品不足に悩み、稼働率は2〜3割にとどまっています。部品調達は物価高騰の影響があるにせよ、根本的な原因は開発時までさかのぼり、C-2との部品共通化が裏目に出ました。
先述のとおり、共通化でコストは節約すれども、C-2とP-1では使い方が異なり、機体の大きさが似ているだけです。高高度を巡航するC-2に対して、P-1は海上を低空飛行だけではなく、高度と進路をよく変更します。
運用構想が違うにもかかわらず、無理に両者の部品を共通化すれば、何かと歪みが出てくるでしょう。共通化のコンセプトはともかく、開発が拙速で楽観的だった部分が強く、不具合と稼働率の低さを考えると、一定の批判は仕方ありません。
また、エンジンは苦手分野にもかかわらず、国産化へのこだわりで突き進み、途中から国産開発が目的と化してしました。
現実として日本にそこまでの技術がなく、需要が海上自衛隊に限られているなら、会社側も積極的な設備投資ができず、部品の供給体制が整いません。
他方、必要な予算が承認されず、部品不足と未改修につながり、供給体制が崩壊しました。この点は会計監査院も無関係ではなく、予備部品の購入に注文を付けたり、予算内容を精査しすぎたところ、稼働率低下の一因になりました。
方針転換で調達削減
低調な稼働率に悩みなか、組織改編と方針転換を受けて、調達数は70機から61機に減り、一部は「シー・ガーディアン(無人機)」で代替します。
これコストもさることながら、人手不足による影響が強く、陸自も攻撃ヘリ部隊をなくすなど、自衛隊全体が無人機にシフト中です。
部品の共通化でコストを抑えたものの、P-1の単価は約200億円と決して安くはなく、艦艇要員さえ確保できない海自にとって、航空部隊の現状維持はできません。
海外輸出は失敗(出典:海上自衛隊)
海外輸出を通して単価を下げるべく、国際的な展示会と航空ショーに加わり、外国への販売を目指してきました。
されど、日本は輸出実績がない以上、海外勢には太刀打ちできず、興味を示す国があっても、彼らは最終的にはP-8を選びました。
部品共通化の弊害、稼働率の低さを加味すると、供給体制と整備性の悪さが目立ち、なかなか売れないのが実情です。
いろいろ問題点はあれども、P-1は哨戒機としては悪くなく、むしろ卓越した能力を誇ります。
たとえば、潜水艦を見つける競技会、多国間の対潜戦演習で3連覇するなど、P-8を上回る好成績を収めてきました。実際の演習成績を参照すると、P-1の勝率が66%以上なのに対して、P-8は20%以下にとどまっています。
しかし、部品の供給体制を確立できず、稼働率が2〜3割にとどまる以上、運用面では明らかに失敗です。
それでも、P-1そのものを廃止する可能性は低く、有人哨戒機の必要性は変わりません。実際のところ、2040年代に向けた開発構想が出ており、川崎重工が次期哨戒機の検討を始めました。


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