「より深く」への進化と後継
続いて気になるのが「どこまで深く潜れるか」という点。
これもあくまで推測ですが、以下の3点から潜航可能深度を最低700m、最大900mと考えます。
- 船体の新鋼材が理論上は深度1,000mまで耐えられる
- 使用する89式魚雷の最大深度が900m
- 前級の「おやしお型」の最大潜航深度が約800m
もちろん、2点目については「使用魚雷の最大深度≠発射母艦の潜航可能深度」という留意が必要なものの、少なくともそれに近い深度まで活動できることを示唆しています。
申し分ない潜航期間と潜航可能深度を誇る「そうりゅう型」は、船体後尾の「舵」を十字型からX字型に変更したことでも知られています。この変更のおかげで、より細かい操舵や水中機動性の向上が見込めるほか、待ち伏せなどで海底着座する際に舵を痛めずに済むのです。
ほかにも、情報処理の高速化と集約管理、ネットワーク機能の強化によって艦隊司令部との連携を容易にしました。
ところが、2021年に発生した民間船との衝突事故では、通信機能が損傷した「そうりゅう」と艦隊司令部との連絡が断絶されてしまいました。よって、今はバックアップとして衛星携帯電話も導入されています。
「そうりゅう型」は通常動力型としては世界最高クラスの性能を持ち、海自潜水艦隊の「ワークホース」でもあります。そして、対中国の切り札のひとつにも数えられることから、全12隻のうち8隻が広島県の呉基地に配備されました。
このように全艦とも現役バリバリなものの、早くも後継の「たいげい型」が登場して続々と就役しています。
また、「そうりゅう型」は国内のみならず、海外からも高く評価されています。
原子力潜水艦のみとなっているアメリカは、世界最高級の通常動力型潜水艦を相手に演習できるメリットを享受しており、準同盟国のオーストラリアは老朽化した自国潜水艦の後継として一時的は導入を本格検討しました。
残念ながら輸出案件は白紙になりましたが、それでも通常動力型潜水艦を選ぶ際の有力候補になれたのは大きいです。
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