見つけるのに特化
僚艦防空能力を削った「あさひ型」は、その代わり対潜担当として潜水艦の探知能力は大きく強化されました。
各種のソナーシステムは「あきづき型」よりもアップグレードされており、味方のソナー音が敵潜水艦に当たって跳ね返る「反響音」を拾うことも可能になりました。
自分で直接見つけられなくとも、他の艦艇が探し当てた情報を受信・処理して、今までより連携した対潜戦を行えるわけです。しかも、武器は国産のアスロック対潜ミサイルに加えて、近距離用には最新の12式短魚雷があてがわれました。
さらに、護衛艦として初めて潜望鏡監視レーダーを搭載することで、水面に現れた敵潜水艦の潜望鏡をすぐに探知・判別できるようになりました。
潜水艦は目標探知にソナーを使いますが、確実に捕捉・撃破するためには潜望鏡を用いた目視確認も重要です。ところが、短時間の露出でも探知されるとなれば、潜水艦側は潜望鏡の使用をためらい、攻撃自体を妨害したり、攻撃の精度が悪くなるのを期待できます。
このように「あさひ型」は情報連携を含めた対潜戦で大幅な能力向上を果たし、最も難しい「見つける」に特化した艦といえます。
ただでさえ海自は対潜哨戒で定評があるなのに、潜水艦狩りにさらに注力した「あさひ型」の登場は、仮想敵にとっては大いなる脅威でしょう。
それを裏付けるかのように、就役時は中国メディアが特集を組んで取り上げ、軍事専門家を呼んで自国の新鋭艦と徹底比較するほどでした。
防空重視の「あきづき型」に対して対潜重視の「あさひ型」ですが、残念ながら建造数は半分の2隻に留まりました。
本来であれば、各護衛隊群に1隻ずつ配備して計4隻というのが理想的なものの、「もがみ型」フリゲートの大量建造が予定されていた点、そしてCOGLAG推進や新型ソナーを含めて試験的要素があったことから2隻で終わりました。
後継については現時点では何も出ておらず、当面はフリゲートの量産が続くので、検討が始まるのはかなり先になります。艦齢も比較的新しく、今後20年間は第1線級で活動する見込みです。
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