世界初のステルス機?F-117ナイトホークの退役理由とその後継

アメリカ
この記事は約3分で読めます。

実戦で示した有効性と減りゆく利点

計64機が生産されたF-117の初実戦は、1989年末に行われた中米・パナマに対する爆撃任務でした。このとき、6機のF-117が投入されましたが、爆撃目標を外したことで「高性能ステルス機のくせに失敗した」との批判を浴びます。

その後、1991年の湾岸戦争で40機以上が投入された結果、1機の被害も出さずにイラク軍を精密攻撃して汚名返上に成功しました。

ところが、続く1999年のコソボ空爆では、探知されにくいはずのステルス攻撃機がセルビアの防空ミサイルに撃墜される事件が発生します。

この事件で機体に木材を使っていたのが判明したうえ、一部残骸が中国に流出したのですが、流出技術はすでに最新のものではなく、アメリカも大きく問題視しませんでした。

2000年代にはイラクとアフガニスタンでの空爆任務に投入され、その後はより優れたB-2爆撃機やF-22ラプター戦闘機、F-35ライトニングⅡ戦闘機が登場したおかげで、F-117をあえて使う必要がなくなりました。

こうして2008年には全機退役となり、戦闘での喪失はセルビアで撃墜された1機にとどまりました。ちなみに、数機はいつでも復帰できる状態で保管中で、退役後も飛行する姿が目撃されていることから、引き続き研究と訓練支援で運用されているのでしょう。

着陸時にドラッグシュートと呼ばれるパラシュートを用いるF-117(出典:アメリカ空軍)

F-117は実戦を通じてステルス攻撃機としての性能を発揮できた反面、運動性能は決して優れておらず、急旋回時の負荷に主翼が耐え切れなかった墜落事故も起きています。

これは設計問題ではあるものの、そもそもF-117のデザイン自体が航空力学上は飛行に不向きなのです。

独特の設計で高いステルス性を獲得した代償として、機動性は非常に悪く「フライ・バイ・ワイヤ」というコンピュータ制御の操縦アシストが不可欠です。

このシステムはパイロットの操作を電気信号でコンピュータに送り、最適の姿勢制御をしますが、F-117ではこのフライ・バイ・ワイヤを四重にして飛行安定性を確保しました。

とはいえ、実態としてはコンピューター制御で無理やり飛ばしている状態なので、機動性・運動性が悪いのは変わらず、最高速度もマッハ0.92と「遅い」機体になっています。

さらに、1時間飛行すると30時間ものメンテナンスが必要なうえ、維持管理費も通常の航空機より高いのが悩みです。

最新鋭のステルス機ならともかく、すでに半世紀前の機体で技術的にも最先端からは遠いため、わざわざ高いコストと手間をかけてまで今も使うメリットはありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました