超優秀?NASAMSの驚くべき性能と射程について

ミサイル発射機 アメリカ
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改良で機動性・射程が向上

2000年代後期には改良型の「NASAMS 2」が導入されて、レーダー性能を強化しつつ、NATO諸国の標準通信システム「リンク16」にも対応しました。

これによって情報共有能力が高まり、対空戦闘における連携プレイがしやすくなりました。

そして、2019年には発射機をハンヴィーの上に搭載した最新型「NASAMS 3」が登場していて、防空システムとしての機動力が格段に向上しています。

この最新型ではC-130輸送機による空輸が可能となり、悪路に強いハンヴィーによって以前は進出できなかった地形にも展開できます。

もともと機動性の高いハンヴィーに載せたおかげで、従来よりも展開オプションが増え、敵にとっては神出鬼没の厄介な存在になりました。

さらに、ディスプレイ型の射撃管制装置によってシステム自体の操作性も向上したため、短時間で展開してミサイルを放ち、反撃を受ける前にすばやく撤収できます。

最新型のNAMAS 3防空システム(出典:ノルウェー軍)

「NAMAS 3」では使用するミサイルが新型の「AIM-120 AMRAAM-ER」に変わり、射程距離が50km以上になったほか、飛翔高度もNASAMSの21kmから35kmに伸びました。

さらに面白いのが、より短射程の「AIM-9X サイドワインダー」も発射できるようになった点。

AIM-9Xは赤外線を探知して目標に向かう誘導方式ですが、アメリカはこれが対巡航ミサイル・対無人機に有効と考えており、NASAMSでもこうした使い分けがされると思われます。

ただし、短射程と言っても、AIM-9Xの射程距離は40km近くはあるので、中距離防空に使うにも問題ありません。

さて、気になる値段についてですが、NASAMSはセットで約30億円、発射するミサイルが1発あたり約1.5億円となっています。信頼性が高く、1機100億円の戦闘機を撃墜できる兵器としては納得のいく金額ではないでしょうか。

スティンガーミサイルより長射程で、ペトリオット・ミサイルよりは安いため、総合性能と費用対効果に優れた防空兵器といえます。

開発国のアメリカとノルウェー以外でも、フィンランド、スペイン、オランダ、オーストラリア、リトアニアなどが導入済みで、今後はハンガリー、カタール、そして台湾が導入予定です。

ほかにも、ロシアに侵略されたウクライナに対して、8つのNASAMSが供与されており、防空兵器でも旧ソ連のものを使っていたウクライナ軍の迎撃能力が劇的に向上しました。

提供されたNASAMSはあのHIMARSロケット砲と同様にアメリカからの軍事支援の一環で、すでに多数の巡航ミサイルを撃墜してウクライナの都市部を空爆から守っています。

このNASAMS供与はウクライナ軍の戦力をさらに強化する一方で、ただでさえ低調なロシア空軍の活動をますます低下させました。

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