弾道ミサイル防衛の要
北朝鮮による核開発の脅威を受けて、日本は弾道ミサイル防衛(BMD)に取り組み、同分野では世界有数の能力を獲得しました。そもそも、BMDができる国は少なく、日本はアメリカを除くと、かなり珍しい防衛体制を実現しています。
日本のBMDはイージス艦のSM-3ミサイル、地上のペトリオット・ミサイル(PAC-3)、という二段構えの体制ですが、最後の砦であるPAC-3は対応範囲が狭く、前者に命運が委ねられている形です。
では、そのSM-3ミサイルとは何なのか?
- 基本性能:SM-3ミサイル(ブロック2A)
全 長 | 6.55m |
直 径 | 0.53m |
重 量 | 1.5t |
速 度 | 最高マッハ18 (秒速4.5km) |
高 度 | 最高500km |
価 格 | 1発あたり約40〜50億円 |
SM-3は弾道ミサイルを大気圏外で撃墜するべく、米海軍の長距離対空ミサイル「SM-2」に基づき、1990年代に開発された迎撃ミサイルです。
ミサイルが戦場に現れて以来、いろんな対抗手段が登場したとはえ、超音速で突入してくる弾道ミサイルに対して、有効な手立てはありませんでした。
その意味では、SM-3ミサイルの開発は画期的でした。
では、具体的にどうやって迎え撃つのか?
SM-3ミサイルはイージス艦から放ち、GPSと母艦に誘導されながら、大気圏外まで飛翔します。目標をとらえると、弾頭部分を切り離して、センサーと姿勢制御装置を使い、軌道を微調整する仕組みです。
そして、最後は目標にそのまま当たり、物理的に「撃墜」します。注意したいのが、弾頭は爆発エネルギーではなく、あくまで直撃で目標を破壊する点です。
北朝鮮の脅威にさらされたところ、日本は「こんごう型」イージス艦に改修を行い、SM-3の運用能力を与えました。このとき、SM-3の「ブロック1A」というタイプを買い、その運用を発射試験で順次確立していきました。
ところが、「ブロック1A」は射程が思いのほか短く、準・中距離弾道ミサイル以上になると、その迎撃が難しいと判明します。
そこで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)も迎撃すべく、改良型の「ブロック2A」の開発に取り組み、日本も参加して日米共同開発になりました。
ブロック2Aは弾頭の大型化のみならず、燃料搭載量の増加で最高速度が向上しています。2020年には米海軍が発射試験を行い、イージス艦で初めてICBMを撃墜しました。
SM-3シリーズは開発国・アメリカを除けば、日本ぐらいしか運用しておらず、その調達数は180〜200発と思われます。
このうち、「ブロック2A」の調達は徐々に進み、BMD体制の強化につながったものの、残念ながら「こんごう型」は対応していません。一方、「あたご型」は改修で対応しており、最新の「まや型」では最初から搭載しました。
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