余剰車両の輸出で欧州標準戦車へ
120mm砲がもたらす強大な火力と優れた射撃精度、申し分ない機動性と防御力を持ったレオパルト2はソ連戦車に対抗するドイツの切り札として2,100両以上が生産されました。
ところが、冷戦終結とソ連崩壊によってドイツが軍縮政策に転換したことで大量の余剰車両が発生しました。
そして、余ったレオパルト2をオランダやスウェーデンなどに安価で輸出したのを契機に、その後も改良型などで輸出実績を順調に伸ばし、今や「欧州標準戦車」と称される地位まで獲得したのです。
このように優れた中古品を安く入手できる点が導入のきっかけとなったわけですが、もともとレオパルト2は改修に適した拡張性の高い設計であったことに加えて、輸出先の要望に応じた仕様やサポート態勢に力を入れたのが功を奏し、いわゆる「リピーター客」を誕生させました。
その結果、今ではポーランドやギリシアなどの欧州諸国に加えて、カナダ、トルコ、インドネシア、チリなど20カ国以上で採用されるベストセラーとなりました。
また、ロシアの侵略を受けるウクライナが本命としてレオパルト2の供与を要請した結果、ドイツやポーランド、スペイン、カナダ、フィンランドなどから最終的に85両以上が提供される見通しです。
これらは同じレオパルト2でも異なるバージョンが混じっているものの、同じく供与されたイギリスのチャレンジャー2戦車やアメリカのM1A2エイブラムス戦車とともに、ウクライナの地で仮想敵の旧ソ連戦車(ロシア戦車)と交戦することになります。
そして、2023年6月に始まった反攻作戦では70両以上を喪失した一方、乗員の多くは脱出に成功しており、車両も回収後に修理されるなど、生存能力の高さを戦場で証明しました。
さて、登場から40年以上が経過したレオパルト2の最新型は「レオパルト2A7V」と呼ばれるバージョンで、新型の赤外線サーモグラフィ装置やエアコン設備の追設、加速性と防護力のさらなる強化が図られました。
一応、今後も改良されながら使われ続ける見込みですが、長らく停滞していた後継の開発も進んでおり、今のところラインメタル社(独)が発表した「KF-51 パンター」が有力視されています。
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