教訓を反映したBMP-3
冷戦末期に登場した「BMP-3」は車体刷新によって居住性を改善しており、重要箇所は二重装甲化して防御力を高めています。その結果、水上航行力や機動性を損なうことなく、M2ブラッドレーの25mm機関砲にも耐えられるほどの防御力を獲得しました。
武装面では100mm砲、30mm機関砲を併用して火力増強を図り、対戦車ミサイルも発射できる前者は約4,000mの射程距離、600mmの装甲貫通力を手に入れました。
ロシア軍の「BMP-3」(出典:ロシア国防省)
その後も電子機器と射撃管制装置を換装したり、エアコンをつけた改良型が登場するなど、西側兵器を買えない国にとっては有力な代替オプションになりました。
しかし、その代償として値段は跳ね上がったため、配備数はBMP-1・BMP-2と比べて圧倒的に少ない状況です。
現代戦で露呈した低い生存性
旧ソ連圏を中心に根強い人気があるBMPシリーズは、ロシア=ウクライナ戦争でも双方が多数投入していて、結果的に損耗もかなり目立ちました。
特に防御力で欠陥を抱えている旧式車両は、ジャベリン対戦車ミサイルなどによって乗員もろとも破壊されるケースが多発しています。
防御力を高めたロシア軍のBMP-3でさえも、すでに300両近くの喪失が確認されてる状況で、もともとの在庫数を考えるとその補充に相当苦労しているはずです。
戦況悪化にともなって倉庫から引っ張り出してきたものが増えるなか、被弾時の生存が見込めないこれら旧式車両は「走る棺桶」としてロシア兵から忌避されています。
ポーランド軍のBMP-1(出典:ポーランド国防省)
こうした苦境はウクライナ側にも共通しているものの、こちらは欧米諸国からM2ブラッドレーやマルダー歩兵戦闘車が供与されたおかげで、必然的に更新が進められています。
与えられた西側の歩兵戦闘車も損害が出ている一方、乗員は脱出しているケースが多く、実戦での生存能力ではBMPシリーズよりも優れていることを証明しました。
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