退役せず?日本初のイージス艦「こんごう型」の性能

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老齢艦だが、まだ退役しない

主な任務が艦隊防空から弾道ミサイル防衛に変更された4隻ですが、改修されたとはいえ、イージス艦としての艦隊防空能力を失ったわけではありません。

今でも艦隊防空の中核として期待されていて、イージス・システムと垂直発射装置(VLS)を使って放たれるSM-2対空ミサイルは強力な防空網を形成します。

ただ、弾道ミサイルの迎撃任務に就くときは、どうしてもそちらに集中せざるを得ず、空いた穴は「あきづき型」などの護衛艦でカバーする形です。

また、イージス艦と聞けば最新感がありますが、「こんごう型」は海自でもすでに老齢艦ともいえる船です。護衛艦の寿命は約30年とされるので、そろそろ退役と後継選定が始まってもおかしくありません。

高性能なイージス艦は年数が経っても使えるとはいえ、「あたご型」イージス艦、そして最新の「まや型」と比べたら、イージス・システムのバージョンが古く、性能的には劣後します。

「あたご型」「まや型」がベースライン9というバージョンなのに対して、「こんごう型」は改修された状態でベースライン5です。

ベースラインというのはWindows 8や10のようなもので、バージョンによって使えるミサイルの種類、そして情報処理・共有に差が出ます。

ミサイルを発射する「きりしま」(出典:海上自衛隊)

弾道ミサイル防衛用の「イージスBMDシステム」においても、「まや型」は最初からBMD5.0シリーズを搭載していて、「あたご型」も同シリーズにアップグレードされました。

これに対して「こんごう型」はBMD3.6にとどまり、通常システムとBMDシステムのプログラム統合がされていないため、艦隊防空とミサイル防衛を両立できず、中距離弾道ミサイルに対する能力も限られます。

それでも、弾道ミサイル防衛の一翼を担い、1隻1,200億円もするイージス艦はそう簡単には引退できません。

仮にBMDシステムをアップグレードしなくても、汎用護衛艦では不可能なミサイル防衛はできます。そして、弾道ミサイルの迎撃任務から外れても、その能力を艦隊防空で活かせばいいだけです。

また、船体そのものは大事に使えば約50年は保つとされており、清掃や物品整備に余念がない海自であればこの点はクリアできるでしょう。

したがって、後継案は今のところは出ておらず、多額の費用をかけて改修した点も考えれば、最低でもあと10年は使うはずです。しかも、再改修も視野に入れた延命の動きもあり、現役期間はさらに伸びるかもしれません。

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